天文博士（てんもんはかせ）――空を見上げ、星の動きから国の未来を読み解く人。それが、かつて国家の中枢にいた天文の専門官です！

 

このページでは、陰陽寮における天文博士の役割・業務・影響力について、歴史的エピソードを交えて深掘りしていきます！

 

 

天文博士とはどんな役職？

天文博士は、律令制度下の陰陽寮に所属する天文部門の責任者で、正七位下の官位を持つ専門教育官兼国家観測者です。

 

主な任務は、天体観測・異変の報告・天皇への奏上。天体異変が「天の警告」とされていた時代、天文博士の観測結果は政治判断の基準にもなっていました。

 

どんな仕事をしていたの？

天文博士の業務は、ただ星を見るだけじゃありません！しっかり制度化されていたんです。

 

• 毎日の天体観測：日食・月食・流星・惑星の動きなどを継続記録
• 天文密奏：異常があった場合は密封文書を作り、天皇に極秘で報告
• 後進の教育：天文生10名、得業生2名程度を指導。技術と知識を継承

 

使用されたのは渾天儀（こんてんぎ）などの天文器具。現代のプラネタリウムみたいな道具を使って、リアルに空を読み解いてたんですね。

 

天文密奏ってなに？

天文密奏とは、重大な天体異変（彗星出現、日食の急変など）が起こった際に、天皇に極秘で報告する制度です。

 

流れとしては…

 

1. 天文博士が異変を確認・分析
2. 密奏宣旨（報告許可）を受ける
3. 報告文を密封して陰陽頭→大臣→天皇へと奏上

 

これは単なる天気報告じゃなくて、「天が国家に語りかけている」という思想に基づいたもの。ある種の国家宗教的プロセスでもあったんです。

 

有名な天文博士たち

歴代には、陰陽道の中心人物も数多くいます。

 

• 賀茂保憲：安倍晴明の師匠であり、平安中期の観測の第一人者
• 安倍吉昌：晴明の次男。天文博士として知識を世襲
• 安倍泰忠：平安末期、「養和二年記」の天文観測記録を残した人物

 

彼らの記録が後世の天文学・占星術に影響を与えていったんですね。

 

天文博士の情報まとめ表

項目	詳細
職名	天文博士（陰陽寮・天文部門の責任者）
官位	正七位下（博士職の中では最高位）
主な業務	天体観測・天文密奏・後進育成
学生構成	天文生10名・得業生2名
密奏制度	異変を確認後、密封文書で天皇に極秘奏上
著名な博士	賀茂保憲・安倍吉昌・安倍泰忠など