
狐(きつね)って聞くと「ずる賢い」とか、妖狐の伝承から「不気味」とかってイメージを持つ人もいるかもしれませんが、陰陽道(おんみょうどう)では、霊獣・式神・幻術者としてめちゃくちゃ重要な存在だったんです!
化けて迷わせたり、逆に神の声を伝えたり――狐は「善」と「魔」、両方の顔を持つ存在として、陰陽のバランスそのものを体現しているんですよ。
陰陽道では、狐は式神(しきがみ)として使役されることが多く、祈祷・護符・結界などさまざまな儀式に登場します。
たとえば安倍晴明も、狐を従えていたという伝説が残っていて、「白狐が式神の姿で現れた」なんて話も。つまり狐は、霊的エネルギーを具体化した使い魔みたいなものとして考えられていたんですね。
日本では稲荷神(いなりしん)の使いとして白狐(びゃっこ)が信仰されていて、五穀豊穣・商売繁盛・家内安全の象徴となっています。
この白狐は、ただの動物じゃなくて「神の意思を伝える霊媒」としての役割を持ち、善なる狐=守護霊という一面を強調しています。
陰陽道では、狐は年を重ねることで霊力や知性を獲得するとされ、特に有名なのが九尾の狐(きゅうびのきつね)。
これは、九本の尾を持つまでに力を蓄えた霊狐で、幻術・変化・智恵の象徴とされます。中国の神話と融合した存在で、平安期の陰陽道にも強く影響を与えました。
こうした狐たちは、人に化けたり、未来を見通したりする力を持っていて、「善悪両面」の力を持つ霊獣として登場します。
安倍晴明が特別な霊力を持っていた背景には、狐の血が流れていたという伝説があります。晴明の母は、実は葛の葉(くずのは)という白狐の化身だったというものです。
ある日、晴明の父・安倍保名が信太の森で白狐を助けたことが縁となり、現れた女性・葛の葉と恋仲に。そして生まれたのが童子丸、のちの安倍晴明なんだとか。童子丸が5歳の頃、葛の葉の正体が狐であることが露見し、彼女は別れの歌を残して森へ帰っていったそうです。
そして葛の葉が息子に授けた水晶の玉と黄金の箱は、後に晴明が陰陽師として頭角を現すきっかけになったともいわれています。つまり、狐の霊力を受け継いだ存在こそが安倍晴明だったわけですね。
一方で、狐には人を化かす存在というイメージもありますよね。
これは「管狐(くだぎつね)」や「憑きもの」としての信仰に由来していて、家に取り憑いて富をもたらす一方、扱いを間違えると災いを招くことも…。つまり、狐=制御すべき霊力でもあったんです。
五行要約