陰陽道「物忌み」の意味をわかりやすく解説|引きこもる期間とは?

平安時代の貴族たちが、急にスケジュールをぜんぶキャンセルして家に引きこもる……そんな不可思議な習慣がありました。

 

それが「物忌み(ものいみ)」です。

 

ただのサボり?いやいや、とんでもない! これは陰陽道におけるとても大切な斎戒(さいかい)=けがれを避ける修行なんです。

 

このページでは、そんな物忌みの意味やルール、どんな時に行われたのかなどを、わかりやすくかみ砕いて解説していきます!

 

 

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物忌みって何するの?

物忌みとは、陰陽道における「心身の清浄化」を目的に、ある一定期間、自宅に籠って生活を制限する習慣のこと。

 

要するに、

 


「今ちょっと、空気が悪いから外に出ないでおくね!」

 

って感じです。具体的には……

 

  • 外出や来客NG(家の中にこもる)
  • 肉食や匂いの強い野菜(ネギ・ニンニク)もNG
  • 音楽や遊び、笑い声も控えめに
  • 神仏に祈る斎戒や禊(みそぎ)を行う

 

この期間は、家の御簾(みす)や門、帽子(冠)などに「物忌」札をかかげて、「入っちゃダメだよ〜」とアピールしていました。

 

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いつ、なんのためにやるの?

物忌みを始めるきっかけは、けっこう幅広いんです。

 

  • 凶日(カレンダー上の運勢が悪い日)
  • 怪異を目撃した時(不吉なことが起こった)
  • 悪夢を見た(不吉の予兆とされる)

 

こんな時に、陰陽師が暦や星を読んで「●月●日から3日間、物忌みしましょう」と判断を下すんですね。

 

目的はズバリ、物の怪や厄災を避けること。災いに触れてしまう前に、生活を止めて運気の回復を図るという、危機管理型スピリチュアルなんです。

 

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期間の長さはお祭りの格で変わる

お祭りや神事の前にも、物忌みはよく行われました。その時の祭りの大きさによって、物忌みの期間も変わってきます。

 

  • 小祀(こまつり):1日だけ
  • 中祀(ちゅうし):3日間
  • 大祀(たいし):なんと1ヶ月に及ぶことも!

 

たとえば天皇の即位儀式である大嘗祭では、祭りの前に「散斎(あらいみ)」として1ヶ月、そして祭当日は「致斎(まいみ)」として完全無言・禁欲の生活。もう修行僧ばりのストイックさです。

 

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貴族たちはどのくらいやってたの?

びっくりするかもしれませんが、平安時代の貴族にとって物忌みは日常茶飯事。一年のうち1ヶ月近くも籠っていた人もいたんです。

 

たとえば『源氏物語』では、主人公・光源氏が宮中から退出して物忌みする場面もあります。ちゃんと御簾に「物忌」札をかけて、人を寄せつけないようにしていたんですよ。

 

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現代にも残る“見えない自粛”文化

物忌みの風習は、明治時代に陰陽寮が廃止されたあとも、庶民の生活習慣にしっかり残っています。

 

たとえば……

 

  • 厄年のお祓いや神社参拝
  • 大祓(6月・12月)の身清め行事
  • 方除けや家相を気にして引越しを避ける

 

見えない世界に対する慎重さ。まさに、物忌みの精神が生きている証ですね。

 

五行要約

 
  1. 物忌みとは、陰陽道における「心身の穢れを避けるための引きこもり習慣」!
  2. 悪夢・凶日・災厄の予兆があれば、陰陽師が物忌期間を決定!
  3. 家から出ず、食事・会話・娯楽を制限し、札で「立ち入り禁止」も!
  4. 祭りの格によって1日〜1ヶ月と、物忌期間の長さもいろいろ!
  5. 現代の厄年や方除けにも、物忌みの精神はちゃんと生きている!