安倍晴明にまつわる伝説的な逸話の数は圧倒的であり、そこから清明=最強の陰陽師というイメージが確立され、今や陰陽師の代名詞とも言える存在です。
ここではそんな清明の圧倒的存在感を確立するに至った数
史実における安倍晴明の妻はよくわかっていません。ただ古典の物語では梨花(りか)という女性が妻として登場します。寛文2年(西暦1662年)刊行の仮名草子『安倍晴明物語』にはこんな話が収録されています。
道満に妻を奪われる清明の巻
蘆屋道満は清明との術比べに負けた故、清明の下に仕えていました。やがて道満は清明の妻・梨花に恋心を抱くようになり、清明の中国留学中、梨花と関係を持ってしまったのです。しかし清明が帰ってきたらその関係も終ります。
何とか梨花を我が物にしたい・・・。道満は閃き、清明帰国後、酔っ払いの清明に、賭け事を挑みます。清明は酔いに任せて「首をかける」とまでいいましたが、あらかじめ道満が勝つよう仕込まれた賭けだったので、約束通り斬り殺されてしまいました。
邪魔者がいなくなり、道満は晴れて梨花と夫婦になれたかのように思われましたが、なんと清明は師匠の力で蘇生を果たします。すぐさま自分を騙して殺した道満に復讐を果たし、元妻の梨花も裏切り者として斬って捨ててしまったそうです。
またある伝承では、梨花にも霊力があり鬼が見えたといいます。その為清明は、妻が怯えるからという理由で、自身の式神を橋の下に隠しておいたというエピソードもあります。