
陰陽師(おんみょうじ)と神主(かんぬし)。どちらも「神秘的な儀式を行う人」というイメージを持たれがちですが、実は出発点も思想も職能も全然ちがうんです。
このページでは、そんな2つの存在の違いと共通点を、歴史や役割、儀式内容などの視点からわかりやすくかみ砕いて解説していきます!
陰陽師は、古代律令制度のもとで陰陽寮という役所に所属していた国家公務員。その仕事は占筮・暦作成・天文観測・祈祷・結界・式神など、陰陽五行思想に基づく学術的・呪術的な内容でした。
神主は、神社に仕える神道の宗教者で、祝詞を唱える、神楽を奉納する、御神体を祀るといった神事の実務全般を担当します。国家というより地域共同体に根ざした存在です。
つまり、陰陽師は中央政権の儀礼官、神主は地域と神をつなぐ神職なんですね。
陰陽師のベースは陰陽五行。これは自然や時間を「木・火・土・金・水」+「陰と陽」の循環でとらえる中国哲学から生まれた思想で、そこに道教や仏教、神道がミックスされて陰陽道が生まれました。
神主が従うのは神道。日本固有の神々(八百万の神)を祀り、清らかさ=穢れを祓うことを重視します。祝詞や神楽といった儀式を通じて神意を受け取り、人々に加護をもたらす役目です。
つまり、陰陽師は理論と術式で災厄を制御し、神主は神と人をつなぐ祭祀者なんです。
陰陽師は、朝廷・貴族・武家など上級層のために活動し、国家規模の災厄対処や方位の選定、天体の監視などを行っていました。
神主は、村や町の神社に属して地域の人々の信仰を支える存在。年中行事や地元の祭礼を通じて、神々とのつながりを守ります。
中世以降、陰陽道の技法が神道に吸収されたことで、神主が鬼門除けや方位祓いなど、かつて陰陽師が担当していた要素を担うことも増えていきました。
違いはあっても、陰陽師と神主にはこんな共通点もあります。
たとえば、節分の鬼やらい行事などは、もともと陰陽道の行事が神社に取り入れられたものなんです。
陰陽師は明治維新以降、制度としては消滅しましたが、土御門家などによって知識や儀式の一部が神職や研究者に受け継がれています。現代では漫画や映画の影響で“式神を使う呪術師”的なイメージが定着していますね。
神主は現在も全国の神社で活動中。初詣、厄払い、地鎮祭など、私たちの暮らしに今も深く根づいた存在です。
五行要約