陰陽道における「方違え」の意味とやり方

引っ越し、旅行、通勤……どこかに出かけるとき、「この方向って、ヤバくない?」と不安になったことありませんか?そんな時、平安時代の人々は「方違え(かたたがえ/かたちがえ)」という風習で対応していました。

 

これは陰陽道から生まれた凶方位よけの実践術。このページでは、そんな方違えの意味と具体的なやり方について、わかりやすくかみ砕いて解説します!

 

 

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方違えとは何か?

方違えは、一言で言えば「凶方向を避けるための遠回り作戦」。

 

たとえば、「今日は東に行くと災いがあるよ」と言われた場合、その方向に直接向かうのではなく、まず別の方角に一泊して、そこから目的地へ向かうというスタイルです。

 

このとき、方位の吉凶を占ってくれるのが陰陽師。彼らは空や暦を読み解き、その日の凶方位神がどこにいるかを教えてくれるんですね。

 

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なぜそんなことをするの?

方違えの背景には、「方位にも神様がいて、怒らせると災いが起きる」という考え方があります。

 

とくに恐れられていたのが以下の五柱の方位神たち:

 

  • 天一神(てんいちしん):5日間、同じ方角に留まる
  • 太白神(たいはくしん):毎日、位置が変わる
  • 大将軍(だいしょうぐん):3年単位で同じ方向に
  • 金神(こんじん):1年固定。かなり手強い
  • 王相神(おうそうしん):約1〜1.5か月間同方位

 

これらの神がいる方向に無防備に向かうと、不幸や病気が降りかかると信じられていたのです。

 

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具体的なやり方を見てみよう

やり方はとってもシンプル。でもしっかり儀式化されてました。

 

  • 出発予定日の前夜、まず「安全な方向」に移動
  • その場所で一泊(貴族はお屋敷、庶民は宿場など)
  • 翌朝、その宿泊地から目的地へ向かう

 

これで「自宅→目的地」の凶ラインを回避できるというワケ。

 

例えば『源氏物語』では、光源氏が宮中から自宅へ戻る際、左大臣邸に一泊してから帰るエピソードが登場します。これもバッチリ方違えの実例!

 

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特別な時期には長期方違えも

方位神の中でも、大将軍金神のように長期間同じ方角に居座るタイプは、かなり厄介。

 

そのため……

 


「節分前後の45日間、毎日方違えしよう!」

 

なんて大がかりな儀式も存在しました。これが「四十五日方違え」。まさにガチ勢のレベル!

 

また、日々の通勤にすら「今日はこの道通れない」となれば、出社ルートを変える……そんなストイックな貴族もいたんです。

 

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庶民にも広がった“方よけ信仰”

時代が下ると、方違えの風習は庶民にも広がり、現代では簡略化されていきます。

 

  • 宿泊の代わりに「車中泊」や「枕を別の方角に置く」だけでOK
  • 引っ越し時には「方違神社」に参拝し、お守りや土を持ち帰る

 

特に大阪の方違神社京都の城南宮などは、今でも方除け・八方除けで有名ですよね。

 

五行要約

 
  1. 方違えは、凶方位に向かうのを避けるための「遠回り風習」!
  2. 陰陽師が方位神の位置を占い、安全な方向を指示する!
  3. 出発前夜に一泊し、凶方向をズラして目的地に向かう!
  4. 大将軍や金神など、強力な方位神には長期間の方違えも!
  5. 今でも神社参拝や方除け風習として庶民信仰に残っている!