
安倍晴明と聞いてまず思い浮かべるのが、あの星マーク──五芒星(ごぼうせい)ではないでしょうか?この星形は単なるデザインじゃなく、彼の霊力の基盤そのもの。魔除け、結界、護符、宇宙の象徴…さまざまな意味が込められたこの図形を、このページではじっくり掘り下げてご紹介します!
五芒星は、陰陽道における陰陽思想と五行(木・火・土・金・水)の調和と対立を象徴する図形です。中でも五行の「相克(そうこく)」関係──すなわち、ある要素が別の要素を抑制・制御する関係性──を視覚的に表したものがこの星型。
陰と陽、相生と相克といった対立と循環の法則が、この五角形の交差線に込められているわけです。
そしてこの五芒星は、安倍晴明が陰陽師としての象徴として用いたことで有名で、特に晴明桔梗(せいめいききょう)と呼ばれる五芒星は、彼の家紋としても定着。現在も京都の晴明神社では、鳥居や瓦、社紋、お守りなどにこの紋が刻まれており、彼の霊力や信仰の象徴とされています。
つまり五芒星とは、陰と陽の理を操る晴明そのものといえるのです。
五芒星は退魔・魔除けの結界印として非常に強力とされ、特に霊的な存在を封じ込める力を持つと信じられてきました。
この形が一筆書きで無限に回帰する構造になっているため、「入ったら出られない」「封じたら逃げられない」という封印力の象徴でもあるんです。
晴明は、結界を張るときや式神を召喚・制御するときにこの五芒星を用い、術の安定と完全性を保証したと伝わっています。
五芒星には人間=小宇宙の概念も込められていました。手足と頭を広げた人体を図形に重ねると、ちょうど五つの点にぴったり合う構造になっているんですね。
このことから五芒星は「人間の生命・霊魂を守護するシンボル」として用いられ、命の守り符として信仰の対象にもなっていきました。
特に海女や漁師たちがこの印を命綱代わりに身につけていたという話もあり、「五芒星=安全祈願」の意味もあったんです。
現代でも、京都・晴明神社では五芒星が神紋として使われ、井戸蓋・社瓦・護符・灯篭などあらゆるところに刻まれています。
これは単なる装飾ではなく、晴明の霊力が今なお宿る場所としての意図を持つ配置なんです。境内の中央に刻まれた五芒星を見た人は、どこか心が引き締まるような神秘的な感覚を覚えるのではないでしょうか。
晴明にとって、五芒星は宇宙の構造を操る鍵でした。五行のサイクル、人間と宇宙の一致、封印と防衛の力──そのすべてを一つの形に込めた図形が、この星型だったわけです。
だからこそ、呪符や結界だけでなく、儀礼全体の核として五芒星が用いられていた。安倍晴明という存在が“術そのもの”であり、“宇宙と対話する存在”であったことを象徴していたのです。
五行要約