陰陽師（おんみょうじ）と巫女（みこ）。どちらも神秘的な存在で、白い装束に身を包み、祓いや祈りを司るイメージがありますよね。でも実は、似ているようで根っこは全然違います。

 

このページではこの2つの存在の役割や歴史的背景を比較しながら、「どこが違って、どこが似ているのか？」をわかりやすくかみ砕いて解説します！

 

 

陰陽師は国家の知識職、巫女は神とつながる媒介者

陰陽師は、古代律令制のもと陰陽寮という国の機関に所属していた官僚的な術者です。

 

その活動の基盤は陰陽五行思想。そこから発展した占筮・天文・暦学・祈祷・結界・呪術・式神の使役といった、学問にもとづいた術式を駆使して、国家や貴族のために災厄除けや予知的判断を行っていました。

 

一方で巫女は、神社に仕えて神意を伝える媒介者。神楽を舞ったり、祝詞を唱えたり、神様の声を「口寄せ」で伝えたりする、宗教的・霊媒的な存在でした。

 

つまり、陰陽師が学術職×呪術なら、巫女は神との対話者というわけです。

 

扱う力と目的がちがう

陰陽師は「式神」「結界」「九字」などを使いこなし、災厄や呪いを制御・祓う役割を担っていました。祈祷も行いますが、基盤には天体観測や占術があり、理論に裏付けされた呪術的アプローチが特徴です。

 

巫女は、主に神道の祝詞や舞（神楽）を通じて、神の意志を人々に伝える存在。信仰の現場で神との仲立ちをし、清め・祈願・神託といった感受的で神秘的な技法を使います。

 

とくに古代の巫女は、トランス状態に入り神の声を代弁するような、霊媒師としての役割が強かったとされます。

 

社会的立場と性別のちがい

陰陽師は基本的に男性で、公的機関に属する学問職の官人でした。世襲制が強く、安倍氏や賀茂氏などが長くその地位を保っていました。

 

巫女は女性で、神社に属する宗教職。時代によって役割に差はありますが、神託や神楽、儀式の補佐など、神社や地域社会の信仰の場で活躍してきました。

 

現代でも、神社の巫女は行事や参拝者の対応、御守の頒布など、信仰実務に関わっています。

 

共通点：見えない世界との橋渡し

いちばん大きな共通点は、どちらも「霊的存在と人間をつなぐ」という役割を果たしていることです。

 

また次のような点も似ています。

 

• 祓いや祈祷といった浄化の技法を使う
• 白衣・袴など、清浄を表す装束を身につける
• 神聖な場での儀式を取り仕切る存在

 

節分などの行事における「鬼やらい」では、もともと陰陽師の祓いの技術が神道行事として巫女や神職に継承された例もあるんですよ。

 

現代における二者の役割

陰陽師という職業は、明治時代に制度的には消滅しましたが、文化的・象徴的な存在として今も親しまれています。アニメ・小説などで登場する陰陽師像は、式神や呪術を使う“霊能戦士”として描かれることも多いですね。

 

巫女は現代でも神社に実在し、初詣や神前式などで目にする機会が多くあります。神道の儀式を補佐する存在として、今も日本人の信仰生活に深く関わっているんです。