
陰陽師と呪禁師(じゅごんし)。どちらも呪術に関わる存在だけど、「どう違うの?」って聞かれると、ちょっと答えにくいかもしれませんね。でも実はこの2つ、起源も役割もけっこう違うんです。そして最終的には“ひとつ”にまとまっていくんですよ。
このページではそんな陰陽師と呪禁師の違いと共通点について、歴史的背景から具体的な術の内容まで、わかりやすくかみ砕いて解説します!
まず一番のちがいは、所属していた官庁です。
陰陽師は陰陽寮、つまり中務省に所属。天文・暦・方位・占術など、国家の祭祀や制度に関わる知のプロ集団の一員でした。
一方で呪禁師は、典薬寮(てんやくりょう)という薬を扱う部署に所属。おもに呪詛返しや病気の霊的処置など、呪術医療的な役割を担っていたんですね。
つまり…
といった違いがあるんです。
使っていた呪術にもそれぞれ特徴があります。
呪禁師は、わりと攻防一体型の実践呪術が得意で、「呪う」「呪いを返す」「封じる」「除霊する」といった、直接的な処置がメイン。いわば、現場対応力が高いタイプです。
対して陰陽師は、「式神を使役する」「九字を切る」「暦をもとに吉凶を判じる」など、天文や占術に基づいた祭祀や空間コントロールが得意。個別事案というより、国家や宮中レベルでの厄除け・調整に強みがあったんです。
歴史の流れのなかで、呪禁師という官職は平安中期には姿を消します。
その役割の多くは、当時ぐいぐいと力を増していた陰陽師に吸収されていきました。安倍晴明をはじめとする陰陽師たちは、もともとの暦・天文に加えて、祓いや病除けといった呪禁的な技術も取り込んでいったんです。
つまり、今の私たちがイメージする“万能陰陽師”って、呪禁師とのハイブリッドでもあるんですよ。
とはいえ、出発点が違っても目的は同じ。
どちらも呪術によって、人や土地に降りかかる厄災や霊的トラブルに対処する専門職でした。貴族社会では、医師+呪禁師+陰陽師という連携体制で「心・体・霊」のケアをしていたんです。
ちなみに、呪禁師が使っていた技術の一部は、現在でも一部の神社の祓え儀式に生きているとも言われています。
現代のフィクションでは、呪禁師と陰陽師が敵対関係に描かれることもあります。
でも歴史的には、そんな対立はなかったんですよ。むしろ役割の違いで住み分けていた存在ですし、最終的には融合した関係なんです。
とはいえ、設定としてはおもしろいので、物語ではあえて“ライバル構図”として描かれることがあるんですね。
五行要約