安倍晴明の両親|母親は狐?父親はどんな人?

安倍晴明の両親

安倍晴明の父親については〈安倍益材〉という記録があるが、確実な証拠は乏しい。母親については〈葛の葉〉という白狐とする伝説が中世以降に広く語られており、史実としては伝承の域を出ない。したがって、晴明の両親の言い伝えは陰陽師にまつわる神秘性を反映した物語だといえる。

母親は狐?父親はどんな人?──神秘と伝説に彩られた「安倍晴明の両親」について

安倍晴明といえば「人間離れした力を持った陰陽師」ってイメージが強いですよね。真偽は別にして、伝説の中で語られる、そのパワーはどこから来たのか…って考えると、やっぱり気になるのが両親の存在です。


父親は実在した人物。じゃあ母親は?なんとこちらは白狐の化身だったかもしれないっていう超ファンタジーな伝説が残ってるんです!


このページでは、そんな史実と伝説が入り混じる晴明の「家族の物語」について、わかりやすくかみ砕いて解説します。



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父・安倍益材は実在した中級貴族

安倍晴明の父親とされる安倍益材(あべのますき)は、記録にも名前が残っている平安中期の中級貴族。職業は陰陽寮に仕える官人で、宮中の儀礼や占術、天文に携わっていた人物と考えられています。


一説には大膳大夫(だいぜんたいふ)という役職についていたとも言われていて、これは「朝廷の食事部門の長官」というそこそこ重要なポストなんですよ。


息子の晴明が陰陽師として活躍できたのも、この父からの教えや家の地盤があったからこそ、というわけです。


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伝説の母・葛葉は白狐の化身?

さて、問題の母親についてですが…ここからは一気に物語の世界に入ります。


名前は葛葉(くずのは)。なんと白狐が人間に化けた存在だとする伝承があるんです!


お話の流れはこんな感じ。


  1. 父・安倍保名(伝説上の益材)がケガした狐を助ける
  2. 狐が人間の姿「葛葉姫」となり恩返し
  3. ふたりの間に晴明が生まれる
  4. 晴明が5歳くらいのとき、葛葉が本性(狐)を見られてしまう
  5. 葛葉は正体を明かす和歌を残して森へ帰る


というなんとも美しい悲話なんです。特に有名なのが、葛葉が残したとされるこの一首。


恋しくば 尋ね来てみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉


この和歌、じつは現代でも大阪・和泉の信太森葛葉稲荷神社に伝わってるんですよ!


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母は実在?それとも完全に創作?

じゃあこの葛葉姫って、実在したんでしょうか?


答えはおそらく「NO」。史料には晴明の母について名前や出自が記録されていないんです。だからこそ、後世になって「狐の血を引くから霊力が強い」というストーリーができあがったんだと考えられています。


ようは、晴明の「人間を超えた力」を説明するために、母=霊的存在というロジックが必要だったんでしょうね。


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子が現実と霊界を繋ぐ存在に…

この両親の構図、じつはすごくおもしろいんです。


  • 父親=現実の力(官職や教育、社会的地位)
  • 母親=霊的な血(自然や神霊とのつながり)


このふたつが合わさって、晴明は「現実と霊界をつなぐ陰陽師」として成立しているわけです。


晴明という存在は、史実と伝説のはざまにいるからこそ、いまだに多くの人を惹きつけるんですよね。


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信太森には今も伝説が息づく

ちなみに母・葛葉が帰ったという信太の森、いまでも葛葉伝説の聖地として地元で親しまれています。


神社には葛葉の像や狐のモチーフがいっぱいで、「安倍晴明生誕の地」をアピールするパネルなんかもあるんですよ。伝説が現代にもちゃんと残ってるって、なんだかロマンがありますよね。


五行要約

 
  1. 父・安倍益材は実在した中級貴族で、陰陽師の家系だった!
  2. 母は伝説の白狐・葛葉姫で、晴明は狐の子とされた!
  3. 葛葉は和歌を残して姿を消すという悲話が伝えられている!
  4. 史料には母の記録がなく、狐説は後世の創作と考えられている!
  5. 現実と霊性の両面から、晴明は「人と異界の架け橋」となった!