安倍晴明にまつわる伝説的な逸話の数は圧倒的であり、そこから清明=最強の陰陽師というイメージが確立され、今や陰陽師の代名詞とも言える存在です。
ここではそんな清明の圧倒的存在感を確立するに至った数
安倍晴明の師匠は、賀茂忠行(かもの ただゆき)とされています。忠行は陰陽道に優れ、天皇から絶対的な信頼を得ていたそうです。
忠行は陰陽道の3部門「天文道・暦道・陰陽道」全てに通じる非常に有能な人物で、3部門を統括し陰陽家・賀茂氏を確立したことで知られています
後に賀茂氏と弟子筋の安倍氏二氏による陰陽寮および陰陽道独占のベースとなりました。陰陽道の歴史を語る上で、清明の弟子ということ以上に外せない人物なんですね。
ちなみに忠行は、覆いの中身を言い当てる「射覆(せきふ)」なる透視術を得意としていて、天皇の前で披露したこともあるそうです。
今昔物語集には、賀茂忠行と清明のこんなエピソードが語られています。
「安倍清明忠行に随ひて道を習ふ語第十五」より
ある夜、清明は忠行と共に京へ出かけました。
牛車で忠行は寝てしまいましたが、清明がふと外を見ると恐ろしい百鬼が群れをなしてやってくるではありませんか。
清明は驚いて忠行を起こし、忠行はとっさに方術を使い自分と忠行の姿を隠し、百鬼をやり過ごしたそうです。
鬼の姿というものは、修行した者でもそう見えるものではありません。
幼くして異界の者の姿を見ることが出来た清明に類い希な素質を見出し、陰陽道を伝えました。