
実在した大陰陽師として、あらゆる和風ファンタジー物で大人気の歴史人物・安倍晴明。
でもあまりに神格化された描かれ方が多い為、
「ひょっとしていなかったんじゃないの?」
という疑念を抱く人も少なくないと思います。
じつはこれ“半分は正解”。真実半分、嘘半分で出来ているのが、現代の安倍晴明であることは知って欲しい。
晴明は、リアルな歴史に名を残した公務員でありながら、同時に数々の怪奇伝説で語り継がれてきた“境界の人物”。このページでは、そんな彼にまつわる「嘘」と「真実」を分けて、わかりやすく見ていきましょう!
安倍晴明は、平安時代(921〜1005年)に実在した国家公務員の陰陽師。宮廷に仕えて天文博士として天文観測や暦づくりを担当し、祈祷や除災なども行っていた記録が残っています。
天皇や藤原道長といった時の権力者にも重用され、当時としては超エリート。死後には晴明神社まで建てられるくらい、その功績は大きかったんです。
つまり、これが歴史的に確かな「真実」の部分。
そんな晴明には、「母が狐の葛の葉だった」という有名な伝説があります。これは完全に後世の創作で、当時のシャーマン的存在によくある“異類婚姻譚”のパターン。
要するに、
「普通の人じゃ説明つかない力を持っていたから、出自まで神話化された」
ってことなんです。
母が妖狐→晴明は半妖→すごい力を持ってても納得…という、物語的には完璧な筋書きですよね。
「式神を使役し、鬼を封じ、結界を張る――」これは漫画やドラマでもよく見る晴明の姿。でも残念ながら、こうした明確な超常描写は、史料には出てきません。
例えば『今昔物語』などに出てくる晴明は、たしかに式神を使っているけれど、それはあくまで伝説や物語世界の話。
実際には、呪術や儀式はしていたけど「式神を召喚!」みたいな派手な魔法はやってなかったと考えられています。
式神=実在する「使い魔」じゃなく、精神集中や結界の象徴だった可能性も高いです。
この“史実と伝説の二重構造”は、晴明が活躍していた陰陽道という分野自体が、学問と神秘の間にあるものだったから。
天文や暦は科学的。でも、怨霊や鬼、祈祷や祭祀も扱う。だからこそ晴明は、知的エリートでありつつ、神秘の象徴としても人々に受け入れられたんです。
つまり、
嘘と真実の両方が「安倍晴明」というキャラを成立させているわけなんですね。
実はこの両面性こそが、晴明の最大の魅力。
「式神使い」は創作かもしれない。でも、人々を護ろうとした強い意思があったのは本当。
「狐の子」は伝説。でも、常人には到底真似できない直観力や霊感があったのは事実かもしれない。
――そんなふうに、嘘と真実の境界が溶け合って、晴明という人物は今も語り継がれているんです。
五行要約