
修験道と陰陽道。どちらも「修行」「呪術」「不思議な力」と関係がありそうなイメージですが、実はまったく違うルートから生まれて、それぞれ違う目的と役割を持っています。
このページでは、修験道と陰陽道の違いについて、起源・目的・担い手・実践方法・現代での残り方を軸に、わかりやすくかみ砕いて解説していきます。
修験道(しゅげんどう)は、日本固有の山岳信仰に、仏教・神道・道教・陰陽道などの要素が混ざってできた体験型の宗教です。
開祖とされるのは役行者(えんのぎょうじゃ)。彼に連なる山伏(やまぶし)たちは、山中での滝行、火渡り、断食、歩行修行などを通じて霊力=験力(げんりき)を得ようとしました。
目的はズバリ、
「自然と一体化しながら修行して、人を救う力を得ること」
つまり、体と心を使って霊的な力を獲得する宗教なんですね。
一方の陰陽道(おんみょうどう)は、中国の陰陽五行思想・道教・儒教などをベースに、日本で国家技術として制度化された知識体系です。
陰陽師と呼ばれる専門職は、陰陽寮という役所に属し、天文観測・暦作成・吉凶判断・式神・祓いなどを通じて、国家と社会の運営に深く関わっていました。
目的は、
「宇宙と人間社会のバランスを保ち、災いを防ぎ、国家や個人を調和に導くこと」
つまり、修行というより知識と制度によって秩序を作る技術だったんです。
修験道は何より山での実践が重要。自然の中で五感と肉体を通して「験力」を獲得するのが大前提です。
これに対して陰陽道は、宮廷や都市の中で行われる理論的・制度的な技法が中心。
つまり、修験道は「山の道場」で実践される宗教、陰陽道は「都の庁舎」で制度として働く技術というわけです。
修験道の実践者は山伏。個人や修行団体単位で山にこもり、行の中で神仏や自然と直接つながる体験を大切にします。
陰陽道の実践者は陰陽師。国家に属する専門職として、知識・暦・占術を駆使して、民間にも国家にも技術を提供していました。
どちらも“力”を扱うけれど、その獲得方法と立場がまったく違うんですね。
修験道は今でも山岳宗教として残っており、大峯山や英彦山などでは山伏による修行体験が続けられています。
一方、陰陽道は制度としては明治時代に消滅しましたが、その思想や技法はスピリチュアル文化として現代にも受け継がれています。
このように、今でも違う形で私たちの暮らしや信仰の中に息づいているんです。
五行要約