
陰陽師・蘆屋道満と聞くと、つい「呪い」「暗黒の術者」「晴明のライバル」といったイメージが浮かびますよね。でもじつは、彼の名前が入ったある図形、みなさんも聞いたことがあるかもしれません――
それが「セーマン・ドーマン」。
このページではこの図形を通して、「蘆屋道満の呪い」の本質について探っていきます。
セーマンとは、五芒星(ごぼうせい)のこと。一筆書きで描ける星の形で、「始まりも終わりもない」ってことから魔除け・結界として信じられてきたんです。
この星は安倍晴明の象徴とされ、「晴明桔梗紋」として神社の神紋にも使われてます。五芒星の五つの角は、木・火・土・金・水という五行を表してるともされていて、自然界とバランスよくつながるための印なんですね。
一方でドーマンは、碁盤の目みたいな格子状の模様。これは蘆屋道満の名に由来していて、「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」っていう九字を唱えながら“斬る”ことで霊的バリアを張るという儀式に使われました。
九つのマス目は邪気を封じ、霊を見張るための象徴で、「目がたくさんあって、魔が入り込めない」っていう信仰があったんです。
この2つの図形
を両方描くと、まさに「陰と陽」が組み合わさった最強の結界となるといわれています。
たとえば志摩地方の海女さんたちは、海で遭遇するかもしれない霊的存在(トモカヅキとか)から身を守るために、磯手ぬぐいや道具にこの図を描いたり刺繍したりしていたんです。
魔除けって言うと「怖い呪文」みたいに思うかもしれませんが、実は身を守るための呪術。それがセーマンドーマンの本質なんですね。
蘆屋道満の「呪い」に関するエピソードで、明確に人を害するものとしては、『宇治拾遺物語』や『十訓抄』で、道満が藤原道長を呪おうとして呪物を地中に埋めた話が有名。晴明が犬の助けを借りて呪いを暴き、道満は追放されちゃうというオチです。
ただその他のエピソードでは、誰かを攻撃するためというより、霊的な秩序や守りのための行為として「呪い」が描かれてることが多いです。
つまり、
道満の呪い=防御のための結界
という解釈も可能なんですね。
現代では「呪い」って聞くと、どうしても“人を害する術”みたいに思われがち。でも陰陽道における本来の「呪」は、「言葉(祝)による力」や「気を制御する方法」のこと。
セーマン・ドーマンも、「悪いものを寄せつけない」「無事に帰ってくる」ための守護アイテムなんです。蘆
屋道満が持っていた“呪いの力”も、その多くが人の身を守るための知恵や術だったと考えると、悪役イメージの強い彼の見方がちょっと変わってきませんか?
五行要約