
陰陽道には、星や方位、季節の移ろいを司るたくさんの神々がいますが、その中でも“頂点”に立つ存在がいるって知ってましたか?
その神こそが――泰山府君(たいざんふくん)!
名前からしてただ者じゃなさそうですが、実際にこの神様、人間の寿命や運命、生死さえも左右するとされる超重要な存在なんです。
そして、この神を自在に呼び出し、使役したと伝えられるのが、あの安倍晴明…!
このページではそんな陰陽道の最高神「泰山府君」について、神話・儀式・伝説を交えて、わかりやすくかみ砕いて解説していきます。
泰山府君は、中国・山東省にある泰山(たいざん)に祀られた神様。古代から「死者の魂が集う場所」とされ、冥界の神として崇拝されてきました。
道教では東嶽大帝(とうがくたいてい)とも呼ばれ、人間の寿命・運命・死後の行き先を管理する、いわば司命神のボス。日本に伝わってからは、陰陽道で「冥界の主」として超重要な地位を与えられるようになります。
日本の陰陽道において、泰山府君は北斗七星や閻魔天とも関係し、「死と再生」をテーマにした儀式の中心に登場します。
とくに泰山府君祭(たいざんふくんさい)は、陰陽師にとって最上級の呪術儀式のひとつ。なんと延命や蘇生まで願えるという、現世利益の頂点を極めた秘儀だったんです!
有名なエピソードでは、安倍晴明が殺された父・安倍益材(ますき)を、この泰山府君の力で蘇らせたという伝説があります。
また、病に倒れた高僧・快修上人の延命のため、自らの命を引き換えに「泰山府君祭」を執行。しかし、土壇場で別の僧侶を“身代わり”に指名して回避したとか…。
この儀式では、形代(かたしろ)と呼ばれる紙人形や、金銀の布、馬の模型などを供物として捧げます。
召喚されるのは、泰山府君のほか、閻魔王・五道大神・天官・地官など、冥界に属する十二柱以上の神霊。祈願の目的に応じて役割が異なるため、儀式もとても複雑で厳密に構成されているんです。
明治時代に陰陽道が「廃止」されたあとも、泰山府君の信仰は天社宮など陰陽道宗家により継承されています。
今では「泰山府君守護札」や「本命属星祈祷」などとして、個人の厄除け・延命・開運を願う現代版の祈願として人気。まさに、今も生き続ける「冥界の王」なんですね。
五行要約