
安倍晴明の呪術といえば、式神召喚や結界術など多岐にわたりますが、その中心で力強く響く言葉がひとつあります。
それが──
「急々如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)」。
この呪文句、実はただの決まり文句ではなく、退魔・召喚・封印あらゆる儀式の“命令の締め”として絶大な効果を発揮していたとされています。このページでは、この一言が持つ意味と力、そして晴明の退魔術にどう関わっていたかを詳しくご紹介します!
意外かもしれませんが、この呪文句のルーツは古代中国の行政文書。漢代の公文書では、命令を記した最後に「この命令は法令と同じように迅速に処理せよ!」という意味で「急々如律令」が記されていたんです。
それが日本に伝わると、いつの間にか呪術の決め言葉として使われるようになり、「速やかに命じたことを実行せよ」という神仏・霊的存在への号令へと変化していったんですね。
安倍晴明がこの言葉をどう使ったかというと、たとえばこんな場面。
つまり、彼にとってこの呪文は“即時実行ボタン”のような役割だったんです。唱えれば、式神は動き、霊障は去り、封印は発動する──そんな絶対的命令句が「急々如律令」だったわけです。
晴明はただ魔を払うだけでなく、その背景にある穢れや怨念、霊的因縁を見極め、それに応じた術式を用いました。そうした術の一番最後に唱える「急々如律令」は、いわば術の完成と発動を保証する呪言。
たとえば、術の対象が邪霊だった場合──
「○○を封じ、○○を退け……」と構文を組み上げたあとで
「急々如律令!!」
と唱えることで、呪文全体が現実化する、そんな風に使われていたと考えられています。
呪文だけでなく、護符や呪符にもこの言葉はよく記されています。これは、護符に宿った力が“今すぐ働くように”という意図を持たせるための一言。
たとえば、「厄除」「病気平癒」「怨霊退散」などの護符の末尾にこの呪文が書かれていると、それだけで現世の効力が強まるとされていました。
現代の陰陽道ファンにも知られているとおり、映画や小説で晴明が術のフィニッシュとして唱える姿も、この「効力の決定打」としての役割が反映されているのです。
現代の創作作品――たとえば映画『陰陽師』シリーズやゲーム作品でも、「急々如律令」は安倍晴明=呪術の象徴として印象的に使われています。
まるで西洋の魔法使いが「アブラカダブラ」と言うかのように、晴明はこの呪文句をもって霊的世界に命令を出していた・・・。
この一言には、彼が人間と霊界の間の通訳者であり、支配者であったことが凝縮されているのです。
五行要約