
安倍晴明といえば霊的存在に絶大な力をふるった陰陽師として知られていますが、実は伝承や物語のなかで彼が直接かかわった妖怪退治の話もいくつか残されているんです。
どれも「ガチで妖怪をぶっ倒した」系の逸話というよりは、霊的に封じる・看破する・祓うといった知的で呪術的なスタイルの戦いばかり。さすがは知略と霊力の使い手ですね。
ここでは、そんな晴明がかかわった妖怪退治の伝承を、わかりやすくご紹介します。
神戸市西区に伝わる「花岡太郎」なる存在。人間だったのか、それとも妖怪だったのか……。詳細は明らかじゃないんですが、地元の伝承によると、安倍晴明が退治した唯一の妖怪とされています。
名前だけ聞くと「ふつうの人?」って思うかもしれませんが、村を騒がせる怪異を起こしていたとされ、晴明が来訪してからピタッと収まったんだとか。静かな伝承のなかに、しっかり祓う者=晴明の面影が見えますね。
こちらは京都・宇治に伝わる話。渡辺綱が鬼女「橋姫」の腕を切り落としたものの、それをどう封じるかが問題に。そこで登場するのが晴明。彼は式神と呪術を使ってその腕をきっちり封印!
切り落とされた“部位”だけでも災いをもたらすっていう考え方が、当時の人々にとってリアルだったことが伝わってきますね。
鬼の大ボスといえば酒呑童子! 彼を実際に討伐したのは源頼光ら武士グループなんですが、そのきっかけを作ったのが晴明だったともいわれています。
どうやって?というと、「首級(しゅきゅう)が都に向かっている」と事前に霊視で指摘し、それによって討伐隊が動いたという説。つまり、彼は裏の戦術家として暗躍していたわけです。
『今昔物語集』などにある話では、晴明は魑魅魍魎を見抜くだけでなく、橋姫のような怨念系の存在も封じたとされています。これが“橋姫の腕”とはまた別ルートの伝承。
つまり、橋姫とは何度も因縁があったらしく、封じたり退けたりの繰り返し。ある意味、晴明にとっての「最強の天敵」の一人だったのかも?
最後に見逃せないのが、晴明が日常的に妖怪や霊を式神で管理していたという話。
たとえば「戸締まりをしたら家の中の妖気が鎮まった」とか、「掃除したら物の怪が消えた」みたいなエピソードが残っていて、晴明の術は生活密着型だったんですよね。
これはもう、「祓い屋のミニマリスト」って呼びたくなるレベル。
五行要約