
安倍晴明といえば日本の陰陽師…なんて思ってると、中国ではまったく違う視点で語られていることに驚かされます。中国語圏では、晴明は単なる歴史人物ではなく、仙人クラスの霊術師、はたまた日本に渡った道教の実践者として、独自にリスペクトされてる存在なんです。
このページでは、中国でどう晴明が語られ、どんな風に人気を博しているのか、その実態をわかりやすくかみ砕いて解説します。
中国のネットユーザーにとって、まずインパクト大なのが、晴明の母・葛の葉(くずのは)が白狐であるという伝説。
「半妖の天才」や「狐の子」といった表現が、中国語のBBSや小説系サイトで頻繁に登場します。日本人が鬼滅やBLEACHを読む感覚で、中国の人々も安倍晴明の物語を「異能バトル×神秘ファンタジー」として楽しんでるんですね。
中国では、陰陽道そのものを道教・陰陽五行思想の延長線として捉えるのが一般的です。
天文・暦学・陰陽五行といった学問を、日本で実用レベルに整備した人物──それが安倍晴明。こうした見方から、中国の評論家やネット記事では晴明を「中国文化の応用者」「日本における陰陽道の開祖」と位置づける傾向が強いです。
つまり、中国にとっての晴明は、“日本にわたった道士の進化系”というわけですね。
中国の古典好きに人気のフレーズが「安倍晴明は日本の姜子牙だ!」という表現。
姜子牙(きょうしが)は中国神話に登場する軍師で、道術にも通じた超人的存在。そこに「式神を操る晴明」が重ねられ、まるで仙人や仙界の使者のように扱われることも。張天師や葛洪といった、道教系の名士と並べられて語られることもあるんですよ。
中国語圏のサイトやYouTube風動画解説では、次のような晴明の逸話が人気です。
どれも「いかにも中国神怪小説※に出てきそう!」な雰囲気を持っていて、中国読者からするとむしろ“懐かしい”タイプの神秘譚として愛されてるんです。
※中国神怪小説(ちゅうごくしんかいしょうせつ)
古代中国における神や妖怪、仙人など超自然的存在を題材とした短編小説群。『捜神記』や『聊斎志異』が代表作。道教や仏教思想を背景に、人間と異界との関わりを描き、後の怪異文学や幻想小説の源流となった。
2021年の中国映画『侍神令※』では、安倍晴明をモチーフにしたキャラクターが登場し、若い層への知名度が一気にアップしました。
この影響で、ゲームやネット小説でも式神召喚士としての晴明がバズり気味。ただし、十二支神を召喚するとか、五行属性を自在に操る魔法使いみたいな描写も増えていて、実際の陰陽道とはだいぶズレてきているのも事実です。
創作の中では源博雅との関係も“ブロマンス”や“耽美系”として描かれ、中国の同人界隈では二次創作が止まりません。
※『侍神令(じしんれい)』
2021年に中国で公開されたファンタジー映画で、人気ゲーム『陰陽師』を原作とした実写作品。日本の陰陽師・安倍晴明を題材にしており、ストーリーの密度は賛否あるものの、ビジュアルや雰囲気作りは非常に高水準。陰陽道や妖怪、呪術バトルが好きな方にはおすすめ。
五行要約