
平安時代の“もう一人の陰陽師”といえば蘆屋道満(あしやどうまん)。安倍晴明のライバルとして名を馳せ、数々の伝承や創作で登場する人物ですが……実はその「名前」、ちょっとした謎があるんです。
現代の資料では「芦屋道満」と書かれることが多い一方で、浄瑠璃や古文書では「蘆屋道満」と旧字表記で登場することもしばしば。さらに「道満」のほかに「道摩法師」なんて名前も? いったいどれが“本名”で、どれが演出なんでしょうか。
このページでは「蘆屋」vs「芦屋」の違いから、名前に込められた意味や呪術的ニュアンスまでをわかりやすくかみ砕いて解説します!
蘆屋道満と書くか、芦屋道満と書くか――この話、ちょっとややこしいですよね。でも、実はどっちも「間違い」ってわけじゃないんです。
というのも、昔の資料や演劇台本では「蘆屋」の旧字表記が好まれていた一方で、現代では読みやすさを優先して「芦屋」が使われることが多いんです。たとえば浄瑠璃の名作『蘆屋道満大内鑑』では旧字が使われていて、格式や伝統を意識した演出なんですね。
つまり「蘆屋」も「芦屋」も、時代や場面によって使い分けられてるってわけなんです。
そもそも芦屋って、兵庫県の地名でもありますよね。実はこの「芦屋(蘆屋)」という姓、出身地を表してるとされてるんです。
伝説では、道満は播磨国岸村(今の兵庫県加古川市)の出身だったという話もあります。つまり、芦屋=出身地で、「地元を背負った名前」なんではって言われています。
道満には「道摩法師」っていう呼ばれ方もあります。
「道摩」は、道を操る者、つまり陰陽や呪術に通じた人物っていう意味合いが強い表現。そこから、後世ではより語感のよい「道満」に変えられたともいわれています。
なお「道摩法師」は基本的に蘆屋道満と同一視されますが、文献によっては「別人」とされることもあります。
歌舞伎や浄瑠璃では、蘆屋道満って古代氏族・蘆屋宿禰(すくね)※の末裔で、法道仙人の術を受け継いでるとか、いわれています。
つまりこの名前には、
「地方出身の天才呪術師で、しかも正統な流派の継承者」
っていうキャラ立ちをいっそう強調する歴史的背景も込められているんですね。
※宿禰(すくね)
飛鳥〜奈良時代に朝廷から賜与された高位の称号。古浄瑠璃「信田妻」などで、その称号を持つ蘆屋宿禰から道満への系譜が語られる。
じゃあ、最終的に「芦屋」と「蘆屋」、どっちを使えばいいの?ってなると、
「現代では『芦屋道満』が一般的、でも歴史や創作を語るなら『蘆屋道満』も立派に本物」
っていうのが答えになります。
読み方も「あしやどうまん」で変わらないし、「本物はどっち?」っていうより、「使うシーンに合わせて選ぶ」って考え方が自然なんです。
五行要約