

季節の境目にやってくる「土用(どよう)」。
この言葉を聞くと「土用の丑の日」や「うなぎ」を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。
でも実は、陰陽道や陰陽五行説の世界では、土用とは「季節が入れ替わる前の静かな調整期間」なんです。
強い氣の流れが一度リセットされ、次の季節に向けてバランスを整える──つまり、「休むこと」こそが大事なタイミングなのです。
風水的に土用は、“動かない勇気”を持つことで運を守る時期。
いつもよりゆっくり過ごし、体と空間を整えることで、新しい季節の氣をスムーズに迎えられるとされています。
では、どんな過ごし方が理想なのか。
今回は、土用をやさしく穏やかに乗り切るための風水的アプローチを紹介します。
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土用とは立春・立夏・立秋・立冬の前、約18日間のこと。
四季の変わり目にあたるこの時期は、土の氣がもっとも強くなるとされています。
この時期にやってはいけないとされるのが、「土を動かすこと」。
庭の掘り返し、リフォーム、造園、穴掘りなどは避けたほうが無難です。
土の氣が乱れると、健康・家庭・財運にも影響すると考えられているためです。
また、新しいことを始めるよりも、今あるものを整えるのが開運のコツ。
引越し・転職・開業などの大きな動きは「土用明け」にするのが風水の定番です。
この時期に大切なのは、空間の安定と浄化です。
派手に模様替えをするより、身の回りを軽く整えることを意識しましょう。
玄関は「氣の入り口」、水回りは「氣の出口」。
この二か所を掃除しておくだけでも、滞りが取れて運の通りが良くなります。
部屋が散らかると土の氣が停滞し、気分まで重くなります。
不要なものを手放し、心地よい空間をつくることで、土のエネルギーが穏やかに循環します。
土用の期間は体調を崩しやすい時期でもあります。
栄養のあるものを食べ、早めに休むことで、体の中の氣も安定します。
夏の土用には「う」のつく食べ物(うなぎ・梅・うどんなど)が良いとされ、季節の氣を補う意味もあるんですよ。
風水では、土用を「土旺用事(どおうようじ)」とも呼び、エネルギーの根が深まる時期と考えます。
だからこそ、無理に動かさず、静かに観察する姿勢が求められます。
土いじり、旅行、大きな買い物、引越し、開業など、環境を変える行動は控えるのがベター。
どうしても必要な場合は、「間日(まび)」という特別な日を選ぶと吉です。
中国では、土旺の時期に金のエネルギーを使ってバランスを取るという考えがあります。
たとえば、銅製の飾りや鈴、金色の小物を置くと、土の重さを中和できるとされます。
うっかり工事や移動をしてしまった場合は、塩や酒でお清めを行うのが伝統的な対処法です。
心を込めて空間を整えれば、氣の乱れは自然と鎮まっていきます。
陰陽五行でいう「土」は安定・蓄積・中庸を象徴します。
この期間は、心身の軸を整えるのにぴったりな時期。
五行の視点では、次のように氣を調えると良いとされます。
──こうして五行を意識して整えることで、季節の転換点をスムーズに乗り越えられます。
中国神話では、土の神后土(こうど)が大地を支え、人々の暮らしを守ったとされています。
天地をつなぐ「中(ちゅう)」の氣──つまり、バランスを司る存在です。
この考えはそのまま、土用の意味にもつながります。
季節の変わり目に、天地のエネルギーが交錯する。
だからこそ、心を静め、地に足をつけて過ごすことが大切なのです。
土用とは、“自分の中の大地”を整える時間。
焦らず、慌てず、ゆっくりと次の季節に向けて氣を蓄える──それが最も美しい過ごし方なのです。
五行要約
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