入門講座 第10回：現代に生きる陰陽道

陰陽師が星を読み、呪符を描き、式神を召喚していたあの時代は、もう過去のもの…？

いえいえ、陰陽道は現代でもしっかり生きているんです。それも、リアルとフィクションの両方で！結界や祓い、太極図や式盤といった古代の知恵は、いまやスピリチュアルやエンタメの世界でふたたび脚光を浴びています。

今回は、「現代に生きる陰陽道」をテーマに、そのリアルな実践とフィクションとしての進化、そして両者がどうつながっているのかをたっぷり紹介します。

いま実際に陰陽道を使っている人がいる！

たとえば、安倍成道（あべしげみち）さんのように、現代でも「陰陽師」を名乗り活動する人がいます。書籍や講座では、家の間取り、土地の気の流れ、日常の不調などを陰陽五行のバランスから分析してアドバイスをくれるんです。

たとえば、

• 気の通り道が遮られている部屋のレイアウト
• 陰が強すぎる空間での眠気・体調不良
• 暦を使った吉日の選定

こうした事例に、太極図や干支を使った“現代式占術”が使われています。まるで昔の陰陽師がスマホとコンパスを持って現代に現れたような感じですね。

博物館で陰陽道を“見て学べる”時代

千葉県の国立歴史民俗博物館では、実際に陰陽師の儀式具や暦盤、護符などが展示されていて、「呪術や占いってどんな理論で動いてたの？」という疑問に答えてくれる内容になってます。

展示は単なる歴史紹介にとどまらず、

• 暦をつくる技術がどれだけ国家と関係していたか
• 御霊会や結界が実際の都市設計にどう影響したか

といった、社会制度と結びついた側面にもスポットが当たっていて、「フィクションで見たあの儀式、実はかなりリアルだったんだな…」と実感できます。

式神がスマホに現れる!? フィクションの中の陰陽師

いまや陰陽道は、エンタメの世界で第二の黄金期を迎えています！

• 夢枕獏『陰陽師』シリーズ
• 荒俣宏『帝都物語』
• スマホゲーム『陰陽師』や『Nioh』シリーズ

こうした作品では、式神がビジュアル化されたり、呪文や太極図がバトルアクションに取り入れられたりして、陰陽師が“魔術使い”や“妖怪ハンター”のような存在として描かれています。

でも、決して無根拠な創作じゃないのが面白いところ。たとえば、

• 式盤の図柄は実在する六壬式に由来
• 「急々如律令」は実際の呪文

といったように、フィクションがリアルをベースにしているからこそ、読者やプレイヤーは惹きつけられるんですね。

スピリチュアルや医療の分野にも影響が

最近は、陰陽道的な思想がスピリチュアル・ウェルネスの一部として活用されることも増えてます。たとえば、

• 都市の気を調整する風水的な「結界設計」
• 住居内の陰陽バランス調整
• 暦をベースにした生活リズムの最適化

さらには、病院建築や都市整備のなかで「気が滞らない空間づくり」が求められることもあって、“なんとなく体調が悪い”といった症状への対処法としても注目されています。

陰陽道は「古い思想」ではなく「今を整える知恵」

結局のところ、陰陽道は現代人にとっても

「目に見えない不調」や「気の違和感」を言語化するツール

として有効なんです。科学で測れない不安や空間の違和感を、太極・五行・方位・時間といった概念で整理する。それはつまり、

自分の暮らしを“見える化”する手段なんですね。

リアルな実践とフィクションの想像力が交差するこの時代、陰陽道はもう一度、「生きた知恵」として私たちのもとに帰ってきたのかもしれません。

「古代の遺産」じゃない、“今を整える技術”としての陰陽道――その柔らかで深い世界は、現代人にこそ必要なものかもしれません。あなたの身の回りにも、もうすでに陰陽道は息づいているのかも。