
安倍晴明と対をなす存在として語られる蘆屋道満(あしやどうまん)。妖しげな術者であり、ライバルであり、時に裏切り者として描かれるこの人物、ほんとうにいたんでしょうか?それとも、全部フィクション?このページでは「道満って本当にいたの?」という疑問にズバリ迫っていきます!
まず前提として、蘆屋道満という名前自体は、一部の平安末期の史料にちらっと出てきます。でも、その記録って「人物像がわかる」レベルじゃないんです。どこで何をして、どんな官職にあったのか――そういうことは何ひとつ書かれていないんですよ。
一方で、同時代の安倍晴明は、天文博士や陰陽寮の役職に就いていたことがきっちり記録に残っていて、歴史的に“実在した人”といえるんです。ここがふたりの大きな違いですね。
ちょっと面白いのが、「蘆屋道満」というキャラって、いろんな陰陽師の話が寄せ集められてできた“合成キャラ”なんじゃないかって説があるんです。
たとえば「道摩法師」とか「道満法師」って名前の陰陽師が、昔の記録や伝説にはちらほら出てくるんですね。彼らの話が後になって一人の「道満」という人物に統合されて、晴明のライバルとして描かれるようになった……そう考えると、あの劇的な設定も納得です。
道満はよく播磨国(現在の兵庫県)出身って言われますが、これも江戸時代以降の講談や浄瑠璃で定着した情報で、一次資料には出てこないんです。
「道満屋敷跡」や「道満塚」みたいなスポットが全国にいくつかあるのも事実ですが、考古学的に裏付けられてるわけではなく、「昔そう言われてる」っていうレベルの話が多いんですね。
いちばん有名な術比べとか妻の寝取り、殺害と復活劇なんかの話――これ全部、江戸時代の浄瑠璃『蘆屋道満大内鑑』をはじめとしたフィクションです。
この演目では、道満がとにかく腹黒い裏切り者で、晴明に復讐されるっていうド派手な展開。でもこれは、当時の観客を楽しませるための完全な“脚色”なんです。
つまり、
ライバル関係そのものが創作だった!
わけなのです。
ただし、蘆屋道満は現代では創作キャラとして超人気。ゲーム『Fate/Grand Order』では星5サーヴァントとして登場するし、2020年のテレビドラマ『陰陽師』では竹中直人さんが演じて話題になりました。
さらに朗読劇『YOUNG WIZARDS』やホラーゲーム『九怨』など、いろんなメディアに引っ張りだこ。晴明の“闇バージョン”みたいな立ち位置で、むしろ今では晴明と並ぶ伝説の陰陽師として定着してる感じさえあります。
五行要約