
安倍晴明って、天文や暦を読むだけの学者じゃないんです。伝承の世界では、式神を操り、ライバルと術で競い合い、呪詛を見破って撃退する――そんな“陰陽道バトルの王者”みたいな顔も持っているんですよ。
このページでは、晴明が繰り広げた「戦いの歴史」を、逸話や伝承をもとに時系列やジャンルごとに整理して紹介します。
まず最も有名なのが蘆屋道満(あしやどうまん)とのライバル関係。伝説によれば、2人はたびたび占術や呪術で対決していたそうです。
代表的なのがミカン箱勝負。道満が「箱にミカン15個」と当てて勝ち誇ったところ、晴明は「中身はネズミ」と宣言。箱を開けると、なんとミカンがネズミに変わっていたというオチ。これはもう占いじゃなくて現実操作レベルですね。
他にも、道満が晴明の妻を奪い、秘術書を盗んで晴明を殺害するという伝説もありますが、晴明は中国で修行していた伯道上人の力で蘇り、道満に復讐したとも伝えられています。
晴明の得意技といえば式神。この使役術を駆使して、多くの“戦い”を制しています。
たとえば道満が自らの式神で挑んできたとき、晴明はそれを無力化して完全勝利。また、ある僧侶が他者からの呪詛を受けた際、その式神の正体(カラスの姿)を見抜き、呪い主に逆制裁した話も有名です。
つまり、晴明は式神同士のガチンコ対決でも一歩上を行く技を持っていたということですね。
晴明の霊的なセンスの高さを示すエピソードがこちら。まだ幼かった頃、師・賀茂忠行と一緒に牛車で夜の街を通っていたとき、彼は百鬼夜行の気配を察知。
忠行の術でその場をやり過ごせたという話ですが、このときの“霊感”こそが、のちの陰陽師としての才能の片鱗だったのかもしれません。
呪術戦といえば、晴明は藤原道長に仕掛けられた呪詛をも見抜いています。道長の愛犬が外出を止めようとしたことで異変を察知し、庭を調べた晴明は式神の痕跡を発見。
犯人の陰陽師に対してすぐさま呪い返しの術をかけて封じ込め、政治的危機から道長を救ったという『宇治拾遺物語』の話もあります。
このとき、呪詛を仕掛けたとされる蘆屋道満は播磨国へ流され、最期を迎えたとも言われています。
こうした数々の“戦い”の伝説を通じて、安倍晴明は陰陽術の絶対王者としてイメージが確立していきました。
彼の戦いは、物理的な剣や槍じゃなく、見えないものとの戦い。式神を操り、霊を読み、敵の呪いを逆手に取る…そんな「静かだけど激しい戦場」で、常に勝ち続けた人物だったんです。
五行要約