
桜(さくら)といえば日本を代表する花。でも、陰陽道(おんみょうどう)の世界では、ただ「きれい」なだけじゃない、ちょっと不思議な見方がされてるんです。
たとえば「桜は女性性をあらわす木」という解釈がありますが、これは陰陽思想の「陰木」という考えに基づいているんですよ。
このページでは、陰陽道における「桜」の象徴性を、陰陽のバランスや文化的背景とあわせてわかりやすくかみ砕いて解説します!
陰陽道では植物も「陽木」と「陰木」に分けられます。で、桜は陰木に分類されるんです。
陰木=内にこもる・しなやか・女性性を帯びた存在っていう扱いで、たとえば梅や柳なんかと同じ系統。「夜に映える」「儚く散る」「柔らかく枝垂れる」って特徴が、まさに陰の気質なんですね。
だから桜は、女性性や静けさ、受容性を象徴する木と考えられていたんです。
ここで面白いのが、花見=陽と桜=陰の関係。
古来の日本では、「陰と陽を釣り合わせる」ことが大事だったから、桜の下に人が集まって宴を開くという花見の風習が、陰陽バランス的にピッタリだったんですね。
つまり、静かな桜(陰)に、にぎやかな人の気配(陽)を加えることで、初めて“吉”になるという発想。だから昔は、桜の木をぽつんと1本だけ植えるのはちょっと縁起が悪いともされたんです。
ちなみに植物学的に見ると、桜は陽樹※に分類されます。つまり日光を好んで成長する木。でも、陰陽道では「物理的な性質」じゃなくて「象徴性」や「見た目・雰囲気」で分類するから、学術的な基準とはちょっと違うんですね。
なので、「日なたが好き=陽木」ではなく、「たたずまいが女性的=陰木」っていう感覚的な基準で捉えられてきたわけです。
※陽樹(ようじゅ)と陰樹(いんじゅ)
陽樹は日当たりを好み、直射日光でもよく育つ樹木(例:アカマツ、コナラ)。一方、陰樹は日陰でも生育可能で、他の木の下でも育つ(例:スギ、モミ)。森林の遷移や植生調査で使われる概念で、植生の階層構造や森林管理に重要な指標となる。
陰陽道と日本文化が交わるところでは、桜=吉兆の象徴としても扱われています。
たとえば武士の家紋や着物の柄には、「潔さ」や「儚さ」の美学を込めて桜の文様がよく使われました。パッと咲いてパッと散る様子が、武士の「いさぎよい生き様」に通じるからですね。
また、春に桜が咲くことから五穀豊穣・新しい始まりの象徴とされ、祝儀や儀式でも好まれたんです。
現代でも、「桜の木のそばには人が集まるべき」「一本だけ庭に植えるのは避けた方がいい」って言われること、ありませんか?それ、じつは陰陽道的な発想が背景にあるんです。
つまり、桜=陰だからこそ、陽=人・笑顔・音と一緒にして初めてバランスが取れる。昔の人たちは、それを自然に感じていたんですね。
五行要約