
陰陽道(おんみょうどう)の思想を語るうえで、絶対に外せない図形があります。それが、あの白と黒が渦巻く太極図(たいきょくず)!
なんとなく見たことがある人も多いと思いますが、あのシンボルには、陰と陽の成り立ち、宇宙の循環、自然と人間の調和のすべてがギュッと詰まってるんですよ。
このページではそんな太極図の意味や起源、そして「もし向きを変えたら何が起こるのか?」まで、わかりやすく解説していきます!
太極図は、中国の古典『易経※』にある「太極があって陰陽が生まれる」という考え方から生まれた図形です。
太極図
図そのものは↑のように、
という構造。これが陰陽の相互関係・変化・循環を示していて、「静」と「動」が永遠にくるくる回ってるイメージなんです。
※易経(えききょう)
中国古代の占い書で、「五経」の一つに数えられる儒教の根本経典。64の卦(け)を用いて、自然や人間社会の変化を読み解く思想体系であり、陰陽や変化の原理を重視する。占術としての利用だけでなく、哲学書・政治書としても後世に大きな影響を与えた。
この図が本格的に哲学的な意味をもって描かれるようになったのは、宋代の儒学者・周敦頤(しゅとんい)や朱子(しゅし)たちの時代。
彼らは、宇宙の原理を「無極→太極→陰陽→四象→八卦→万物」という形で整理し、太極図をその「ビジュアル解説書」として活用したんです。
今でも太極図は、
など、さまざまな分野で応用されています。向きや色の配置を変えることで、「場のエネルギーの流れ」をコントロールするという考え方は、現代のヒーリングやライフスタイルにも受け継がれているんですよ。
太極図の中で描かれている白(陽)と黒(陰)には、こんな意味があります:
そしてそれぞれの中にある小さな点が「陰の中にも陽があり、陽の中にも陰がある」という、陰陽道の転化の法則を表しています。
さて本題、太極図をもし上下左右に反転させたらどうなるのか?
結論から言うと、意味そのものは変わらないけど、どの「タイミング」や「方角」を重視するかが変わってくるんです。
たとえば、
つまり、反転させることで「今は陰から陽に向かっている途中」なのか、「陽が極まってこれから陰へ」なのか――という運気の流れや結界の方向性が変わってくる、というわけなんですね。
また、流派によっては儀式や方位術で「太極図を反転させて使う」ところもあるそうです。これはまさに、「転化の瞬間を意図的に起こす」ためのテクニックなんですよ。
五芒星
太極図と五芒星――どちらも陰陽五行思想を視覚的に表したものであり、単なる図形じゃなく「宇宙のしくみ」を描いています。陰陽道では、この二つを使い分けつつ、互いに補い合うような形で呪術や結界の構築に使っていたんですよ。
陰陽五行説と五芒星の関係図
木・火・土・金・水の五行が五芒星(五角星)で相剋関係を示す図
五芒星(ペンタグラム)。西洋の魔術っぽいイメージもありますが、実は陰陽五行思想ともがっつり関係があります。
五つの頂点はそれぞれ木・火・土・金・水の五行を表し、星を描く直線が「木は土を打ち負かし、土は水をせき止め…」みたいな相克(そうこく)関係を示してるんです。
しかもこれ、ただの理論じゃなくて、陰陽師が使う護符(ごふ)や結界にバリバリ応用されてる。たとえば安倍晴明の晴明桔梗紋やセーマンなんかが有名ですね。
ここが大事なポイントですが、太極図と五芒星は対立するものじゃなく、視点の違う兄弟みたいな関係です。
それぞれが陰陽五行思想という共通のフレームのなかで、違う角度から宇宙の仕組みをビジュアル化しているんです。
中国では理学や道教の思想として「太極→陰陽→五行→無極への循環」といった哲理として太極図が語られてきましたが、日本ではより実践的な呪術の側面で進化しました。
だから太極図はバランスや宇宙の基本構造の説明に使われ、五芒星はそのエネルギーを操作・制御する道具(護符)として重宝されたんです。
ある意味、太極図が設計図、五芒星がその設計に基づいて作られた結界ツール、って感じですね。
ちなみによく混同される六芒星(ダビデの星)は、調和や統合の象徴ですが、五芒星はもっとダイナミック。
五行の相克のバトル構造がベースにあって、より“攻めの護符”って感じの性質があります。
反転した五芒星
守護の象徴も、反転することで不吉・邪悪を意味するようになる。西洋圏では悪魔崇拝の象徴。
出典:McSush(編集)、原図 Adrian Wimmer/パブリックドメインより
また、太極図を上下逆にしても、根源的な意味は変わらないと説明しましたが、五芒星に関しては、逆にすることで全く意味が変わってきます。いわゆる「逆五芒星」は不吉・邪悪を意味し、陰陽道的には陰陽のバランスが崩れた危険な状態とされるのです。太極図の「大陰に小陽、大陽に小陰」という構造に通じるところがありますね。
五行要約