式神とは、陰陽師が使役した「霊的な存在」のことで、陰陽師の命令で自在に動き、人の悪行や善行を見定めるといわれています。(陰陽師が使役する式神の役割・能力とは?も参照ください)。この式神には様々な種類があり、各陰陽師が自分の特性にあった式神を使役していました。
式神の形態の分類は、人型や鳥獣型、妖怪(異形)型など様々です。陰陽師が呪法を唱えると自在に姿を変えたといわれます。
また式神の創造過程の分類では思業式神・擬人式神・悪行罰示神に分けられます。
一番良く知られているのは2番目の擬人式神ではないでしょうか。アニメや漫画で、札に術をかけて人や鳥獣、異形の化け物を召喚するという演出は多いことから、式神といえばこのイメージを持っている人が多いと思います。
最強の陰陽師と名高い安倍晴明は、「十二神将(十二天将)」と呼ばれる12人の非常に強力な神(あるいは精霊)を式神として使役していました。六壬の「青龍・朱雀・白虎・玄武・勾陳・六合・騰蛇・天后・貴人・大陰・大裳・天空」に由来します。十二神将は悪業罰示式神に分類され、最強の式神とされています。
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修験道の開祖である役小角(役行者)が使役したといわれる式神です。夫婦の鬼で、前鬼が夫、後鬼が妻とされています。各地にある役小角像の多くには、夫婦鬼の像も付属されています。
犬神は犬霊の憑き物のことです。式神の一種である犬神とは?で詳しく解説しますが、飢餓状態の犬の首を落とし、怨念の増した犬の霊を呪物として使役していたとされます。
同じ器でヘビ、カエル、ムカデ、ゲジゲジといった動物を戦わせ、生き残った動物の霊を呪物として使役するというものです。あまりの凶悪な呪いな為、平安時代には禁止令が出されました。
欧州では式神のような存在のことを「使い魔」と呼びます。魔法使いや魔女と絶対的な主従関係にあり、伝言・偵察・届け物などを請け負います。そして使い魔として多いのはカラスや黒猫といった動物です。色合い的に目立たないということもありスパイには絶好なのでしょう。