
日本の古典ファンタジーに登場する陰陽師といえば、式神を操り、呪いや厄災を祓う存在として描かれることが多いですよね。でもそのルーツをたどると、そこには中国の「道教」という思想体系が深く関係しているんです。
ただし、「道教=陰陽道」ではないんですね。
たとえば、道教は「仙人になる」「自然と調和する」といった超越的理想を追い求める宗教・哲学体系ですが、陰陽道はもう少し現実的。たとえば「天皇のために暦を作る」「宮中の儀礼を整える」「疫病の原因を占う」といった国家業務をこなす実務のプロという立場だったんです。
そこでこのページでは「道教」と「陰陽道」の違いについて、思想・目的・組織・儀礼の面から比較しながら、わかりやすくかみ砕いて解説します。
まず一番の違いは、どこでどうやって生まれたか。
道教は中国発、陰陽道は日本生まれという点が大前提の違いなんですね。
※老子・荘子(ろうし・そうし)
中国古代の思想家で、ともに道家(道教の思想的源流)を代表する人物。老子は『道徳経』を著し「無為自然」を説いた始祖的存在。荘子はその思想を発展させ、自由と相対性の世界観を描いた。共に儒教と並ぶ東洋哲学の柱を成す。
思想面でも両者はかなり対照的。
道教が「自然と共にあるべき」と説くのに対して、陰陽道は「自然のリズムを読み解き、政治や日常に応用する」という立ち位置です。
ここがいちばん分かりやすい違いかもしれません。
つまり、道教の人たちは「修行で悟りを得る」ことを目指しますが、陰陽師たちは「天皇の命令で吉日を計算する」など、国の仕事として活動していたんですね。
使うテクニックや儀式にも違いが出てきます。
とくに道教では「仙薬を煉る(煉丹)」「体操して気を整える(導引)」といった自分の身体に働きかける修行が多いのに対して、陰陽道は「社会や空間の秩序を整える」ことにフォーカスしてるのが特徴です。
最後に、それぞれ現代にどう残っているかも比較してみましょう。
ゲームやアニメで見る「式神バトル」なんかは、まさに陰陽道のエンタメ化ですね。
五行要約