
日々の食事が「運命」や「気の流れ」に関わっているとしたら……? そんな壮大な視点から食を捉えていたのが、陰陽道(おんみょうどう)の世界です。
現代でいう「バランスの良い食生活」とはちょっと違って、陰陽道では「食べ方=心身の整え方」。このページでは、そんな陰陽道における食事の考え方について、わかりやすく解説していきます!
陰陽道において、物忌みや斎戒の期間中は、食べるものにも厳しいルールがありました。
これは「肉=陽の気が強すぎて、心身が乱れる」とされたため。陰陽のバランスを保つことが何より大切だったんです。
陰陽道では、食材も五行=木・火・土・金・水に分類され、それぞれの陰陽・寒熱・乾湿の属性を意識して食べ分けていました。
たとえば……
こうした考え方は、現在の中医学(漢方)や薬膳料理にも通じています。
季節や体調に合わせて食を調整するスタイルは、まさに“調和の医学”といえますね。
食事のタイミングにも、陰陽道の考えが深く関わっていました。
暦に記された吉日・凶日や天象の動きに合わせて、以下のような制限が行われていたんです。
このように、「何を食べるか」だけでなく、「いつ、どんな状態で食べるか」にまで注意が払われていました。
よく言われる「腹八分目」も、実は陰陽道の思想とリンクしているんです。
満腹になると陽の気が過剰になり、陰陽のバランスが崩れるとされ、常に“足りないくらい”をよしとするのが賢者の養生法。
この発想は、後の日本文化にも根づいて、
「控えめ=美徳」
という考えにつながっていったとも言われています。
陰陽道の食事観は、ただの健康管理ではありません。暦法や呪術と連動した儀礼的実践でもありました。
つまり食は、「身体を整える」だけでなく、「場を清める」「神に近づく」ための重要な手段だったんですね。
五行要約