陰陽道における「食事」に対する考え方

日々の食事が「運命」や「気の流れ」に関わっているとしたら……? そんな壮大な視点から食を捉えていたのが、陰陽道(おんみょうどう)の世界です。

 

現代でいう「バランスの良い食生活」とはちょっと違って、陰陽道では「食べ方=心身の整え方」。このページでは、そんな陰陽道における食事の考え方について、わかりやすく解説していきます!

 

 

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肉や匂いはNG!?物忌み期間の食制限

陰陽道において、物忌み斎戒の期間中は、食べるものにも厳しいルールがありました。

 

  • 肉類・魚類の制限(特に四足動物の肉は禁止)
  • にんにく・ねぎ・香辛料などの強い匂いもNG
  • 淡泊な野菜・穀類中心の食事へ切り替え

 

これは「肉=陽の気が強すぎて、心身が乱れる」とされたため。陰陽のバランスを保つことが何より大切だったんです。

 

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食材にも陰陽五行の分類があった

陰陽道では、食材も五行=木・火・土・金・水に分類され、それぞれの陰陽・寒熱・乾湿の属性を意識して食べ分けていました。

 

たとえば……

 

  • 冷やす食材(陰):きゅうり、豆腐、緑茶
  • 温める食材(陽):生姜、ねぎ、羊肉

 

こうした考え方は、現在の中医学(漢方)薬膳料理にも通じています。

 

季節や体調に合わせて食を調整するスタイルは、まさに“調和の医学”といえますね。

 

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「吉日には食べて、凶日には慎む」

食事のタイミングにも、陰陽道の考えが深く関わっていました。

 

暦に記された吉日・凶日天象の動きに合わせて、以下のような制限が行われていたんです。

 

  • 朔日(ついたち)や満月前後は食を慎む
  • 特定の時刻(赤口など)は食を避ける
  • 祭祀前には小斎・大斎に分けて食事制限

 

このように、「何を食べるか」だけでなく、「いつ、どんな状態で食べるか」にまで注意が払われていました。

 

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腹八分目も陰陽道の知恵だった

よく言われる「腹八分目」も、実は陰陽道の思想とリンクしているんです。

 

満腹になると陽の気が過剰になり、陰陽のバランスが崩れるとされ、常に“足りないくらい”をよしとするのが賢者の養生法。

 

この発想は、後の日本文化にも根づいて、

 

「控えめ=美徳」

 

という考えにつながっていったとも言われています。

 

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食事も祭祀も一体だった

陰陽道の食事観は、ただの健康管理ではありません。暦法や呪術と連動した儀礼的実践でもありました。

 

  • 神事や祈願前の「食の清め」
  • 占い・方違えの前の食制限
  • 災厄時の節制食による祓い

 

つまり食は、「身体を整える」だけでなく、「場を清める」「神に近づく」ための重要な手段だったんですね。

 

五行要約

 
  1. 陰陽道では、食事を「心身の調和」と「穢れ祓い」の手段と考えた!
  2. 物忌み期間中は肉や匂い物を避け、野菜中心の淡泊な食に!
  3. 食材には陰陽五行の分類があり、季節や体質に合わせて調整!
  4. 暦や天象に応じて「食べる日」と「慎む日」が決まっていた!
  5. 腹八分目も、陰陽バランスを保つための実践的な養生法だった!