
陰陽道において「大将軍(だいしょうぐん)」と聞くと、なんだか強くて頼れる存在っぽく聞こえますが――実はこの神様、最強クラスの“凶神”として恐れられていたんです!
一体どうしてそんなに怖れられていたのか?このページでは、その理由をしっかり解説していきます。
大将軍は、陰陽五行における金気(きんき)=金属・武器の気を象徴する星神で、もともとは金星(太白星)と対応しています。
金気は「鋭い・切れる・攻撃する」っていう性質を持っていて、だからこそ戦争・裁判・兵器といった物事とは相性が良い。でも逆に、平和的な日常行為には向かないんです。だから、大将軍が司る方角では「結婚するな」「家を建てるな」なんて忌避が発生するわけです。
この神様の一番の厄介ポイントが、いわゆる「三年塞がり」という現象。
大将軍は一度決まった方角に3年間居座るんです。そしてその間、その方角では…
一切の建築・引っ越し・旅行・開業が凶!
っていう絶大な影響力を発揮。しかも3年間って、なかなか長い。だから昔の人たちは、毎年どの方位に大将軍がいるのかを確認して、方違えや方位除けをするのが当たり前だったんです。
「とはいえ、3年間ずっと動けないのは困る…」ってなりますよね? そこで登場するのが遊行日(ゆぎょうび)という特例。
この日だけは、大将軍が“お散歩”に出てることになっていて、その方角でも凶が緩和されるんです。でもそれ以外はNGなので、特定日しか許されないのが現実…。
ただし! 大将軍は「戦の神」としての一面もあって、軍事行動や武芸、訴訟ごとにはむしろ吉とされる場合もあります。
つまり、普段は危険で触れてはいけない神様だけど、特定の状況ではとても頼れる力を発揮してくれるってことなんです。これは「吉凶分離型」っていう、陰陽道ならではの思想ですね。
さらに大将軍は、疫病神としても知られる牛頭天王(ごずてんのう)※の子どもという伝承もあります。神話的には「鬼神の血」を引く存在なんですね。
※牛頭天王(ごずてんのう)
日本の神仏習合の中で登場した神で、疫病除けの神として信仰された。インド起源の神・祇園精舎の守護神とされる「ガルーダ」や仏教の「薬師如来」信仰と結びつき、さらにスサノオノミコトと習合したことで、祇園信仰の中心となる。京都の八坂神社で祀られたことで広く知られるようになった。
しかも、大将軍を含む八将神はすべて神殺(しんさつ)と呼ばれる凶神カテゴリーに分類されています。これは「その存在があるだけで、方災(ほうさい=方位災難)が生じる」とされる存在群。
つまり――
そこにいるだけで厄をもたらすという、まさに「地雷系の神」だったわけです。
五行要約