陰陽道における歩き方の種類

陰陽道における「歩き方」といっても、ただの移動手段じゃありません。足を使って地を鎮め、場を整え、邪気を押し込める――それが呪術的歩行法の本質なんです。

 

中でも有名なのは反閇(へんばい)ですが、実は一口に反閇と言ってもバリエーションが豊富。このページでは陰陽道で用いられてきた歩き方の種類を、それぞれの意味や特徴とともに解説します!

 

 

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禹歩は歩行呪術の原型

陰陽道の歩法の原点といえるのが、中国古代の禹歩(うほ)です。

 

これは夏王朝の禹王が水害を鎮めるために山河を歩き続けたという伝承から来ており、「片足を引きずるように歩く」という特徴を持っています。

 

歩き方には意味があって、

 

  • 北斗七星を模した構えで進む
  • 星辰信仰に基づき、星の秩序を地に写す
  • 進むごとに邪気や乱れを踏み破るとされる

 

いわば「歩くことで天地を整える」という、最も原始的な“地鎮呪法”だったんですね。

 

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反閇は千鳥足で場を清める

反閇(へんばい)は、禹歩を基盤に日本で発展した呪術的歩法。

 

特徴は足を千鳥足のように踏みしめることで、歩数やリズムによって場の霊気を浄化する点にあります。

 

使い分けられる代表的な歩数には、

 

  • 三足:簡易な祓いや日常の場での浄化
  • 五足:神前や祭祀など中規模な儀式
  • 九足:出陣や大規模な神事などに使われる最上級の反閇

 

歩くごとに呪文(祓詞や星名)を唱え、地に邪気を押しつける所作が組み合わさって、結界のような空間が生まれます。

 

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玉女反閇法は神霊と歩く高等技

さらに発展したのが玉女反閇法。これは「玉女」という神霊を招きながら歩行する、高度な呪術儀礼です。

 

祭壇などに反閇局という円形の歩行範囲を描き、その中を禹歩ベースで進みながら、

 

  • 四方の神々や星辰を呼び出す
  • 神仏との交信空間をつくる
  • 祭場の中心を清め、力を集中させる

 

という働きを持ちます。いわば歩きながら結界と神降ろしを同時にやるような、上級者向けの術なんです。

 

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大・中・小の反閇に分かれる

反閇はその形式や規模によって、さらに大反閇・中反閇・小反閇に分類されることもあります。

 

違いは主に次の通り:

 

  • 大反閇:弓や太刀などを持ち、大規模な方除け儀礼で使用
  • 中反閇:笏や護符を手に持ち、身近な祭事に対応
  • 小反閇:素手または簡易な祓具で行う日常儀礼

 

使う道具や歩き方が違っていて、儀式の内容や場の大きさに合わせて選ばれるわけです。

 

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日本文化への広がりと今も残る反閇

実はこの歩法の要素は、日本の芸能や祭祀にも色濃く受け継がれています。

 

  • 神楽能楽(三番叟)での足踏み
  • 歌舞伎の六方(ろっぽう)という独特の歩行
  • 相撲の四股踏み
  • 修二会での「だだ踏み」など

 

これらはどれも「地を踏み固める」ことで、邪を祓い、神を呼び、秩序をもたらすという反閇の考え方を体現しています。

 

五行要約

 
  1. 禹歩は歩き方呪術の原点で、星辰を踏む儀式的所作!
  2. 反閇は足踏みで場を清める、日本で発展した歩法!
  3. 玉女反閇法は神霊を招く上級式で、反閇局内で歩く!
  4. 大中小反閇は使用具や規模で使い分ける三段階の型!
  5. 神楽・能・相撲など日本文化にも反閇の足跡が残っている!