
安倍晴明と蘆屋道満――この二人の関係って、ただの陰陽術バトルじゃ済まないんです。じつは、とんでもなく濃厚なドロドロ劇が伝わってるんですよ。「ライバルが妻を奪い、殺し、そして復活して復讐!」って、昼ドラもびっくりの展開。その全貌、のぞいてみましょう!
蘆屋道満は、播磨国(今の兵庫県)出身とされる平安中期の陰陽師で、史書にも名前が残る実在人物。物語では安倍晴明に敵対するライバルポジションとして語られることが多いです。
『宇治拾遺物語』や『十訓抄』などでは、藤原顕光にそそのかされて、ライバルの藤原道長を呪詛しようとするも、晴明の活躍によってその企みがバレて、播磨に追放される……って話がよく出てきます。
でも、ここまではまあ“政治に巻き込まれた陰陽師同士の戦い”レベル。それが後世になると、まさかの修羅場に発展するんです。
ここから話がぶっ飛びます。後世の創作(特に江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎)では、道満と晴明は「師弟関係」に進展。だけど、晴明が唐に留学してる間に、妻・梨花(または利花)が道満と関係を持っちゃうんです!
さらに恐ろしいのが、道満が晴明の陰陽道秘伝書『金烏玉兎集』を盗み見て、なんと帰国した晴明を斬殺!
まさに「恩を仇で返す」の極みですね。
でも、それで終わらないのが晴明。彼の師である伯道上人が登場して、晴明の遺骨を集めて復活させるという超展開。しかも復活した晴明が、道満の首を斬り、裏切った妻・梨花も処刑するという血みどろの復讐劇を展開します。
これ、完全にフィクションなんですけど、描かれ方がかなりドラマチック。まるでギリシャ悲劇さながらのドロドロ愛憎劇なんですね。
ここにもう一つ、別の伝説が絡んできます。それが信田妻(葛の葉)伝説。葛の葉は白狐で、晴明の母として描かれる存在。人間の安倍保名と結ばれ、晴明を産んだあと、正体がバレて山に帰る……っていうお話です。
この「狐の母」の話が、後に晴明と道満の対立劇に取り込まれて、「狐の血を引く晴明VS人間の道満」みたいな構図になるんですよね。
このドロドロ展開は、江戸時代の浄瑠璃『蘆屋道満大内鑑』でフル演出されて、歌舞伎にも取り入れられます。この物語では、道満が晴明の弟子になったり、逆に晴明を名付け親にしたりと、作品によって立場も関係もいろいろ。
でもどのバージョンでも共通してるのは、
「道満=裏切りと欲望の象徴」
ってイメージですね。
ただし現実の道満は、史料が乏しく、その実像ははっきりしていません。
伝説上では晴明と対立する呪術師とされていますが、史実ではむしろ晴明と同時代に名を残した“もう一人の陰陽師”として記録されるのみ。
現代の学者の中には、「道満は晴明の“かがみ”として創作された存在ではないか」と見る向きもあり、フィクションの中で肥大化した側面が強いんです。
五行要約