
陰陽道(おんみょうどう)って、「呪い」とか「占い」とか、ちょっとミステリアスなイメージがありますよね。でも本当は、ただの迷信でも、特定の宗教でもないんです。自然のリズムや宇宙の原理を読み解いて、人間の営みに活かそうとした知恵の体系なんです。
その根っこには、中国で何千年も前に生まれた陰陽五行思想があるんですが、これが日本に渡って、儀式や政治、さらには暦や占いの技術と結びついて「陰陽道」となって発展していきました。このページではそんな陰陽道の中に宿る「思想」や「考え方」ってどんなものだったのかを、迷信と宗教の境界線を探りながら、わかりやすくかみ砕いて解説します!
陰陽太極図
まず押さえておきたいのが、陰陽思想の考え方です。これは宇宙のあらゆるものを「陰」と「陽」の2つに分類して、そのバランスや変化で万物の成り立ちを説明しようというものでした。
わかりやすく表にするとこんな感じ↓
陰 | 陽 |
---|---|
月 | 太陽 |
女性 | 男性 |
夜 | 昼 |
静けさ | 活動 |
受け身 | 能動 |
冷え | 熱 |
ようは「対になるもの同士が世界を構成してるよ」っていうシンプルだけど深い思想なんです。そして「陰が強すぎてもダメ」「陽だけでも成り立たない」、このバランスの大切さを説いているのが特徴です。
続いて紹介したいのが五行思想。これは世界を「木・火・土・金・水」の5つの要素に分けて、それらの関係性で世の中の動きを説明しようとする理論です。
これには
という2つの法則があって、自然界だけでなく、人間関係や運命の流れにも応用されました。
たとえば「木は火を生む(燃える)」「火は土を作る(灰になる)」みたいな流れが「相生」、逆に「火は金を溶かす」「水は火を消す」みたいなのが「相剋」ですね。
五行の相生相克図(日本語版)
木・火・土・金・水の五行がそれぞれ生成(相生)・抑制(相克)しあう関係を示す伝統思想の図
出典:Create by Ju gatsu mikka / Wikimedia Commons CC BY-SA 2.5, 2.0, 1.0より
この陰陽と五行を合わせた「陰陽五行説」が、日本では暦作成、方位学、天文観測、占術、祭祀といった技術に発展していきます。
その中心になったのが、国家の技術官僚である陰陽師たち。彼らは、ただの魔法使いじゃありません。ちゃんと理論に基づいた「職能者」だったんです。
たとえば、
こうした技術をもって、政治や民間生活のあらゆる場面に関わっていたんですね。
『たまものまへ』
江戸時代初期の奈良絵本の絵。陰陽師が算木で占いを行う様子を描いている
出典:Tamamonomae Onmyoji / Public domainより
陰陽道は「神」を信仰する宗教とはちょっと違いますし、「ただの迷信」とも切り捨てられない奥深さがあります。
たとえば、自然界には天の意志があるとされ、人がそれに逆らえば天罰(天譴)が下る――これは倫理的な思想でもあるんです。
また、陰陽道は仏教や神道と融合しながら日本独自の世界観を作り上げ、呪術・信仰・儀礼の境界をあいまいにしていきました。このあたりが、「宗教と迷信のあいだ」って言われるゆえんかもしれません。
陰陽道が制度として廃れたあとも、その考え方や感覚は今も日本人の生活文化に根付いています。
さらには、アニメや映画などのサブカルチャーでも式神や陰陽師が定番キャラとして登場したりして、現代にもちゃっかり生き残ってるんです。
陰陽五行思想に基づく健康法
火灸(モクサ)を用いて経絡に熱を加え、陰陽のバランス調整と五行思想の実践を兼ねた伝統施術
出典:Project Gutenberg archive / Wikimedia Commons パブリックドメインより
五行要約