
陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)って、なんとなく「占いっぽい」とか「漢方で使うんでしょ?」という印象があるかもしれません。でも実はこれ、古代中国で生まれた自然・宇宙・人間のすべてを説明しようとした総合的な思想体系なんです。
それも、哲学・医学・天文・暦法・政治・占術まで、あらゆる領域をカバーしちゃう“万能理論”みたいなもの。このページではそんな陰陽五行説の全体像と、学ぶことで見えてくるものを、わかりやすくかみ砕いて解説します!
陰陽五行説の概略図
中央の陰陽から「木・火・土・金・水」五行相生・相克の循環が生まれる
出典:Graymagiker / Wikimedia Commons CC BY 3.0より
まず大前提として、陰陽五行説は「陰陽説」と「五行説」という二つの思想が合体したものです。
この世のすべては「陰」と「陽」、つまり「静と動」「女と男」「月と太陽」「寒と熱」みたいな対立しながらも支え合う二つの力から成り立ってるという考え。
自然界を「木・火・土・金・水」の5つの要素に分けて、それぞれが「生み出す(相生)」と「抑える(相克)」という関係性で循環している、という理論。
この二つを組み合わせたのが陰陽五行説。これによって「人はなぜ病気になるのか?」「天災はなぜ起こるのか?」「王はなぜ失脚するのか?」みたいな疑問に答えようとしたんですね。
十干・陰陽・五行・方位の関係図
古代中国の陰陽・五行理論に基づき、十干とそれに対応する陰陽の性質、五行(木・火・土・金・水)、および四方+中央の方位関係を総合的に示す図
出典:劉參陽 / Wikimedia Commons パブリックドメインより
この説がすごいのは、単なる抽象理論じゃなくて、すべての現象を体系的に結びつけて考える点。
たとえば、四季の変化もこんなふうに分類されてます:
さらに人間の身体についても、五行にあわせて「肝・心・脾・肺・腎」と五臓を配当。漢方医学では「気・血・津液」や経絡のバランスまでこの理論で読み解いていくんです。
古代中国では、陰陽五行は単なる学問ではなく、政治の正当性を説明する手段としても用いられていました。たとえば、「ある王朝は火の気を帯びているが、水の五行に当たる反乱が起こると滅びる」みたいな理論があったんです。
この思想をベースにした「災異思想」では、災害や異変は天の意思(天意)を表すものとされ、政治改革の根拠にも使われました。天文学や暦法も、そういった国家運営と密接につながっていたんですね。
董仲舒(清・1827年刻)
古代中国の儒学者。災異思想と陰陽説を融合させた人物として知られる
出典:孔繼?刻/清1827年石刻/Wikimedia Commons パブリックドメインより
日本には飛鳥〜奈良時代にかけて伝来し、陰陽寮という役所ができて、陰陽師たちが天文・占術・神祇などを扱うようになります。平安時代には仏教や神道とミックスされて「陰陽道」として定着。
このとき陰陽五行説は、暦の決定・方位の吉凶・祭祀の根拠など、暮らしのあらゆる場面に活かされていきました。
今でいう「占い」や「スピリチュアル」的な要素もありつつ、国家的な制度にまでなっていたんですね。
陰陽五行説は今でも現役です!
たとえば:
つまり、陰陽五行を学ぶことは、単なる歴史や哲学を知るだけじゃなくて、「自然と調和して生きる知恵」を得ることにつながるんです。
東洋医学における灸法(おきゅう)の一種「火灸」
陰陽論で言えば「陽気」を補う治療法であり、五行論で言えば「火行」を中心とした気血調整の手段となる。
出典:Project Gutenberg archive / Wikimedia Commons パブリックドメインより
五行要約