陰陽師（おんみょうじ）と聞くと、アニメやゲームで活躍する不思議な術師を思い浮かべる人も多いと思いますが、実はその実像はかなり多面的で奥深い存在なんです。実在の陰陽師は、ただの呪術師じゃありませんでした。天文・暦・占術・呪術をすべて網羅する、国家の公式な専門職だったんです。
このページではそんな陰陽師の歴史的役割や技術、そして後世への影響をたどりながら、陰陽師とはどんな職業だったのか？をわかりやすくかみ砕いて解説します。
まず押さえておきたいのは、陰陽師は勝手に名乗っていたわけじゃなくて、れっきとした国家公務員だったということ。
所属していたのは、飛鳥時代に天武天皇が設けた陰陽寮という官庁。ここには陰陽博士をはじめ天文博士や暦博士、漏刻博士などの専門職がズラリと並んでいました。陰陽師たちは、そこに属して占術・暦作成・天体観測などを担っていたんです。
つまり最初期の陰陽師って、今で言うなら「気象庁＋占い研究所＋国家儀式部門」みたいな仕事をしてた感じですね。
陰陽師の知識の根っこにあるのが、陰陽五行思想です。
陰陽思想は、世界のあらゆる現象を「陰と陽」という二元のバランスでとらえる考え方。そして五行は「木・火・土・金・水」の五つの元素が循環しながら自然を構成するという理論。
陰陽師の技術体系の基礎にある陰陽五行説概略図
陰陽から「木・火・土・金・水」五行相生・相克の循環が生まれるとされる。
出典：Graymagiker / Wikimedia Commons CC BY 3.0より
この二つを組み合わせることで、暦を作ったり、方位の吉凶を判断したり、災厄を占ったりすることが可能になるわけです。
そしてこの思想に、日本固有の神道や仏教・密教・道教の要素をブレンドしたのが、日本独自の陰陽道なんです。
平安時代中期から、陰陽師の仕事はぐっと呪術寄りになります。
貴族や天皇が怨霊や疫病に悩まされたとき、彼らのもとに呼ばれたのが陰陽師。怨霊鎮め、祓い、結界、さらには厄除け祈祷など、神秘的な儀式を一手に引き受けていました。
特に有名なのが式神の使役。霊的存在を召喚して使役するって、まさにファンタジーだけど、これは日本独自の陰陽道ならではの技術でした。
陰陽師の世界には、はっきりとした家系の支配があります。
中でも代表的なのが、賀茂氏と安倍氏。のちに安倍氏は土御門家として陰陽道の総元締めになって、江戸時代まで陰陽師界を支配し続けます。
こうした家系は単なる名家じゃなくて、ちゃんと知識と儀式を継承する役割を果たしていたんです。
明治維新の際に陰陽寮制度は廃止され、陰陽師という職業は正式には消滅します。
でも完全に無くなったわけじゃなくて、神社の儀式や文化イベントの中で、その技法や思想はしっかり受け継がれています。
また、安倍晴明などをモデルにした漫画やドラマのおかげで、現代の若い世代にも陰陽師という存在が身近なキャラクターとして浸透しています。
五行要約
