
陰陽師にまつわる伝説や逸話って、知れば知るほどワクワクしちゃいますよね。とくに平安時代の安倍晴明は、その超常的な力とミステリアスな生い立ちで、今でもファンタジー作品の題材になるほどの人気ぶり!
でも、晴明だけじゃないんです。ほかにも、怨霊や妖狐、謎の師匠まで、伝説の登場人物たちはめっちゃ個性豊か。このページでは陰陽師にまつわる伝説・逸話を5つにしぼって、わかりやすくかみ砕いて解説します。
まずは定番中の定番、晴明の生い立ちエピソードから。
伝説では、晴明の母親はただの人間じゃなくて、なんと九尾の狐・葛の葉。人間に化けて恋をして、晴明を産んだあと、正体がバレて山に帰っていったという逸話が残っています。
葛の葉狐―子を離れる場面(九狐女・葛の葉)
法師陰陽師として知られる安倍泰名ゆかりの物語で、六トウに由来する智略を伝える陰陽師・安倍晴明の母とされる狐女・葛の葉が、自らの正体を明かし子を残して去る瞬間を描く
出典:月岡芳年 / Wikipedia Commons パブリックドメインより
そんな狐の血を引いていた晴明は子どもの頃から鬼や妖怪が見え、式神を使う力もズバ抜けてたって話です。
蘆屋道満(あしやどうまん)は、晴明の永遠のライバルみたいな存在。伝説では、宮廷での術比べで勝負したり、お互いに策略を巡らせたりと、まさに陰陽バトル!
芦屋道満が術比べで晴明に敗れる場面
出典:葛飾北斎『北斎漫画』11編/ Wikimedia Commons - Public domain
ある勝負では、道満が蜜柑の数を当てる占いで見事に的中。ところが晴明はその蜜柑を式神に変化させてネズミにして逃がすというトリッキーな手を使って勝利
・・・こういう晴明がズルいのやら賢いのやら…という面白い逸話も伝わっていますね。
平将門の娘・五月姫が、妖術を操る瀧夜叉姫になってしまったという話もめちゃくちゃ有名。
遺児となった彼女は、父を討たれた恨みを胸に、下総の地で反乱を起こします。ガシャドクロと呼ばれる大物妖怪まで呼び出し大暴れしますが、朝廷の勅命を受けた陰陽師に、討ち取られ、平将門のもとに昇天したというお話です。
瀧夜叉姫とガシャドクロの怪異
平将門の娘・瀧夜叉姫が妖術で呼び出した巨大骸骨(ガシャドクロ)が、大宅太郎光圀を襲う場面を描いた浮世絵
出典:Utagawa Kuniyoshi / Wikimedia Commonsより
人間と妖怪のあいだで揺れる姿なんかも想像できて、ちょっと感じるものがありますね。
美しき女官・玉藻前(たまものまえ)の正体は、またしても九尾の狐。鳥羽天皇の寵愛を受けるも、その背後には国家を傾けるほどの呪力がありました。
妖狐・玉藻前の姿を描いた絵
江戸時代の絵師・鳥山石燕が描いた、伝説の妖怪「玉藻前(たまものまえ)」の姿。陰陽師に討たれたとされ、陰陽道の呪術伝承にも登場する
出典:Author:鳥山石燕 / Wikipedia Commons public domainより
それゆえに陰陽師に正体を見破られ、退治されたあと石となってしまったのです。その石=殺生石は、近づく人を殺すと恐れられたといいます。
2022年には実際にこの石が割れたというニュースもあって、現代でも「もしかして…」って思っちゃいますよね。
殺生石割れた!吉兆か、それとも… 那須の国名勝(2022年3月15日)
ちょっと時代は下って鎌倉時代。ここで登場するのが、陰陽術と剣術を極めた鬼一法眼(きいちほうげん)。
義経に戦術書「六トウ三略(りくとうさんりゃく)※」や兵法を授けたとされます。実在したかどうかは不明だけど、数々の忍術・剣術伝承に名前が出てくるんです。
鬼一法眼と喜三太を描いた浮世絵
法師で陰陽師の鬼一法眼が、六トウ(「六つの兵法」)を説きながら、弟子の喜三太に術や戦略を教導している場面
出典:Utagawa Kunisada / Wikipedia Commons パブリックドメインより
陰陽師は基本偉い人に「使われる」イメージだけど、武将の師匠っていう関係は新鮮でアツいですよね。
※六トウ三略(りくとうさんりゃく)
中国古代の兵法書『六トウ(りくとう)』と『三略(さんりゃく)』を併せた呼称。どちらも戦略・用兵・統治に関する知恵を説き、特に『六トウ』は周の太公望、『三略』は黄石公に由来するとされる。日本でも武士や学者に読まれ、兵学の古典とされた。
五行要約