陰陽道の神・信仰
このカテゴリーでは陰陽道に登場する神々や霊的存在、その信仰形態について紹介します。泰山府君や金神・道祖神といった神格、祭祀のあり方など、陰陽道における信仰体系への理解を深める助けになれば幸いです!

陰陽道に縁ある神々

陰陽師って、ただの占い師や呪術師じゃないんです。実は、古代日本における神々との仲介者という、とっても重要な役割を担っていたんですよ。

 

特に平安時代の陰陽道では、神道・道教・仏教が入り混じる中で、陰陽五行天文方位の思想をベースに、さまざまな神格が信仰されました。このページでは、そんな陰陽道にゆかりのある神々を一気にご紹介!

 

 

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陰陽道の背景にある神仏融合

もともと陰陽道は中国伝来の思想なんですが、日本に入ってからは神道密教、さらには道教仏教の神々とドンドン融合していったんです。

 

たとえば、星や方角に宿る神を崇める形で、天文道方位術に神格が付与されていきました。そして陰陽師たちは、そういった神々に祈り、守りや導きを得ていたんですね。

 

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八将神と呼ばれる方位神たち

黄幡神(八将神の一柱)の図
中世の陰陽道における八将神の一人、黄幡神を描いた挿絵

出典:柄澤照覺 / Wikimedia Commonsより

 

陰陽道でとくに重要とされたのが八将神(はっしょうしん)。これ、実は木星・金星・土星・水星など、天体の精霊を神格化したもので、それぞれが吉凶の方位を司っていたんです。

 

八将神
  1. 太歳神(たいさいしん):その年の“年神”で、木星の霊。正面から逆らうと災いがあるとされました
  2. 大将軍(だいしょうぐん):金星の精霊で、とくに方位災害をもたらす厄神。方位除けに大人気
  3. 太陰神(たいいんしん):太歳神の妃とされ、女性的な陰の気を司る神
  4. 歳刑神(さいけいしん):刑罰の象徴で、その方角での行動は慎まれる
  5. 歳破神(さいはしん):太歳神の反対側に位置し、破壊や崩壊をもたらす
  6. 歳殺神(さいさつしん):災いの兆しを意味し、行動制限を促す神
  7. 黄幡神(こうばんしん):星宿のラゴウを神格化。陰の禍いを司る
  8. 豹尾神(ひょうびしん):計都星の化身で、霊的混乱や暴走を象徴

 

これらの神々は毎年、方角を変えて巡行するとされていたので、年ごとに「この方角に家を建てちゃダメ」「この方向への旅は避けよう」なんて方違えが行われたんですよ。

 

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牛頭天王と八将神の関係

祇園大明神(牛頭天王・素盞嗚尊の習合神)の図

出典:土佐秀信 / Wikimedia Commonsより

 

実はこの八将神、「もともと牛頭天王(ごずてんのう)の子どもたち」とする説もあります。牛頭天王って聞き慣れないかもしれませんが、疫病を防ぐ神様として祇園信仰の中心にいる存在なんです。

 

神仏習合の時代には、陰陽道の鬼祓いや厄除けの神として超人気者! しかも「八人の王子=八将神」との説話もあって、陰陽道と神仏のクロスオーバーがめちゃくちゃ面白いところです。

 

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儀式で祀られたその他の神格

陰陽師たちが祈った相手は、方位神や星神だけじゃありません。以下のような神々も崇敬と信仰の対象でした。

 

  • 自然神(山・川・風・雷)
  • 土地神(村や家の守り神)
  • 祖霊(先祖霊や御霊)
  • 道教の神(天尊・三官大帝など)

 

延命祈願、厄除け、病気平癒…いろんな願いごとに応じて神様を選び、呪文や儀式で祈るのが陰陽道式だったわけです。

 

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江戸から明治へ、神々の居場所の変化

江戸時代には土御門家が陰陽道を継承して、天皇や幕府からの信任を受けてました。でも、明治維新の神仏分離近代国家の宗教政策によって、陰陽道は「非公認の信仰」とされて衰退していったのです。

 

とはいえ、方除けの神社や、節分の鬼祓い神事なんかには、今でも陰陽道由来の神々がしっかり息づいてるんですよ!

 

五行要約

 
  1. 陰陽道は神道・道教・仏教が融合した多神的な世界観だった!
  2. 八将神は天体を神格化した方位の守護神・厄神だった!
  3. 牛頭天王は疫病除けの神で、八将神の父とされる伝承も!
  4. 儀式では自然神・祖霊・土地神などにも幅広く祈りが捧げられた!
  5. 明治以降も陰陽道の神々は民間信仰や神社に受け継がれている!