
安倍晴明の宿敵といえば――そう、蘆屋道満(あしやどうまん)!
陰陽師界の“ダークヒーロー”的な存在として語られることも多いですが、彼はいったいどんな人物だったのでしょう?そもそも実在したのか、それとも完全な伝説的存在なのでしょうか?
ここではそんな謎多き陰陽師・蘆屋道満の人物像についてまとめています。
まず大前提として、蘆屋道満が実在した可能性は高いとされています。出身地は播磨国(今の兵庫県加古川市周辺)とされており、「道摩法師」という名でも伝わっています。
とはいえ、正史(公文書)にしっかり登場する人物ではないため、実像と伝承が混ざった“半実在”タイプの陰陽師と考えられています。
芦屋道満が術比べで晴明に敗れる場面
箱の中身には、道満が占ったみかんではなく、ネズミが入っていた。
出典:葛飾北斎『北斎漫画』11編/ Wikimedia Commons - Public domain
道満といえば安倍晴明との術比べ!これは『宇治拾遺物語』などに残る有名なエピソード。
あるとき、晴明が式神でネズミを箱に忍ばせ、それを道満に占わせたところ、道満は「みかん」と誤答。そこで晴明がネズミを出して見せ、勝負に勝った――というお話があります。
このほかにも式神勝負や呪術対決など、数々のバトル系伝説が残っています。
道満のかけた呪いを察知し、藤原道長の外出を止める犬
出典:国立公文書館デジタルアーカイブより
道満は在野の陰陽師で、朝廷には属していなかったとされています。しかし、藤原顕光という有力貴族に仕えていた時期があり、政敵・藤原道長を呪詛するよう依頼されたという話も。
その呪いを道長の飼っていた犬の異変に気付いた安倍晴明に見破られ、「こんな呪いを使える奴はあいつしかいない!」と犯人として特定された道満は播磨へ追放されたと伝えられています。
ただの「術師バトル」ではなく、当時の政争と陰陽術がリンクしていたことを示す貴重な逸話なんですね。
創作の世界では、道満は「ずる賢くて嫉妬深い敵キャラ」的に描かれることが多いです。でも、地元・播磨では人格者として尊敬されていたという伝承もあり、単なる悪者とは言い切れません。
実際に、地元には「道満塚」や「道満井戸」など、彼を顕彰する遺跡も残されているんですよ。
歌舞伎「芦屋道満大内鑑」からの一場面
役者絵で蘆屋道満を演じる一幕を描写した絵画。左から葛葉、安倍晴明、安倍保名、蘆屋道満。
出典:Utagawa?Kunisada/PD?Japan?old?auto?expired / パブリックドメインより
蘆屋道満は、歌舞伎や浄瑠璃などの伝統芸能でも人気のキャラクター。特に『蘆屋道満大内鑑』では、晴明と魔術で壮絶な戦いを繰り広げるカッコいいライバルとして描かれています。
そして最近では『Fate/Grand Order』などのゲームやアニメで「アンチヒーロー系の呪術師」として再評価され、大人気に!
時代を超えて生き続けるキャラクターなんですね。
五行要約