
平安時代の神秘に包まれた天才陰陽師、安倍晴明。彼の伝説は今も日本各地に息づいています。京都を中心に、晴明が祈祷を行った地や、彼の死後を偲ぶ祠、ゆかりの社寺が数多く点在しており、それぞれの地には不思議な逸話が伝えられています。
このページでは、日本全国に残る「安倍晴明ゆかりの地」をめぐって、その背景にあるストーリーや信仰の姿をわかりやすくかみ砕いて解説します。
晴明神社 拝所と本殿の風景
陰陽道を体現する晴明神社において、民間信仰と神仏習合の伝統が息づく拝所と本殿の風景
出典:Naokijp氏 / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
晴明神社(京都市上京区)は、彼の旧宅跡に一条天皇の勅命で建立された、まさに晴明信仰の総本山みたいな場所です。厄除け・病気平癒の祈願に加えて、「式神を封じた場所」としても有名で、アニメや映画の影響もあって、今では全国から多くの参拝者が訪れています。
また、近くにある一条戻橋も見逃せません。ここには、晴明が式神を橋の下に隠していたという伝承が残されていて、橋の上で「橋占い」を行った話なんかも語り継がれてるんですよ。
神泉苑の庭園
平安京の南端に位置した禁苑で、安倍晴明ゆかりの地としても知られる
出典: Photo by 663highland / Wikimedia Commons CC BY 2.5より
京都には晴明の伝説が刻まれた場所がまだまだあります。
どのスポットも、それぞれにちがう顔を持っていて、まるで晴明が今でもそこにいるかのような空気を感じられます。
熊野神社の社殿
東京都葛飾区にある神社で、晴明で天狗を封じるべく祈祷を行った場所として知られる
出典: Photo by tetracosane / Wikimedia Commons パブリックドメインより
京都から遠く離れた地にも、晴明の名を記した石碑や神社が存在します。
関東では、東京都葛飾区の五方山熊野神社(ごほうざん くまのじんじゃ)が有名で、ここは晴明が那智の滝で修行したあと、天狗を封じ込める祈祷を行ったという伝承がある場所。関東で唯一の晴明由来の神社とも言われており、地元では“隠れパワースポット”として人気なんです。
さらに、茨城県筑西市の猫島地区には「晴明生誕地」の碑があり、地方にもこうして語り継がれているのがすごいですよね。
西日本でも、晴明にまつわる神社や祠が今も大事にされています。
それぞれの地で、地域の信仰と結びつきながら、晴明は「旅する陰陽師」として伝承され続けているわけです。
陰陽道はもともと中国の陰陽五行思想や道教から発展したもので、晴明もその系譜に連なる人物です。
中国圏では、晴明の用いた術が六壬法(りくじんほう)という占星術・暦法の応用だったとされ、式神という存在も、道教における神将思想の影響を色濃く受けていると考えられています。
つまり、安倍晴明という存在そのものが、日本と中国の陰陽思想の橋渡し役だったとも言えるんですね。
六壬式盤
中国の六壬法に由来を持つ、儀式や占術で使用する式盤。天盤と地盤の回転により時間・方位・十二支等を読み取り、吉凶判断に活用される複雑な装置
出典:Author:Wikiwikiyarou / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0より
五行要約