
安倍晴明といえば、陰陽師の代名詞とも言える存在。その力はただの“占い師”の枠にとどまらず、星の動きから鬼退治まで、まさにマルチなスーパースキルの持ち主でした。このページでは、そんな安倍晴明が使いこなしていた能力・術を一つひとつ整理してご紹介します。どれも単なる伝説ではなく、当時の宮廷政治にもガッツリ関わっていたリアルな術ばかり。じっくり見ていきましょう。
安倍晴明の代表的な能力のひとつが、占星術。現代で言う「星占い」よりずっと高度で、日食・月食の時期を正確に読み取ったり、特定の日を「吉日」として選んだりと、天文学的な知識を駆使していました。
実際、晴明は朝廷の重要な儀式や遷都計画にも関与していたことで知られています。つまり彼の読みが「国家の動き」にも影響を与えていたわけです。星のめぐりを読むことは、国の命運を読むことだったんですね。
渾天儀(こんてんぎ)
陰陽師も天文観測に用いた天球儀で、赤道帯や黄道帯などが詳細に示されている図版
出典:Armillary sphere, Plate LXXXVII / Public domainより
呪いや祟りが現実の脅威とされていた平安時代、呪術は超重要スキル。晴明は呪文や呪符を使って、病気や不幸の原因とされた「悪霊」や「陰の気」を取り除いていました。
なかでも有名なのは、ライバル蘆屋道満との呪術合戦。道満が藤原道長にかけた呪いを晴明が見抜き、逆に跳ね返すというエピソードもあり、晴明の「見破り力」と「祓いの力」は段違いだったことがわかります。
藤原道長の外出を止める犬。晴明はこの様子を見て呪いを看破し、逆に道満を追い詰めることに成功したという。
出典:国立公文書館デジタルアーカイブより
陰陽師といえばやっぱり式神!晴明は、この霊的な存在を自由自在に操れることで有名です。護衛、監視、鬼払い、そして敵の術を封じるなど、まさにマルチタレントな霊たちを使っていました。
特に伝説に登場する十二天将は、個別に名と役割があり、それぞれ強力な力を持った守護存在。晴明が彼らを使役できたという話は、それだけで彼の“格”を証明しているといえるでしょう。
京都・清水寺の青龍の手水舎
青龍は中国の四神に由来し、晴明が使役したという北東を司る十二天将の一角。また清水寺では春と秋に青龍会(せいりゅうえ)と呼ばれる除災祈願のお祭りが開催される。
出典:Author:NMaia / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
晴明はただの占いや呪術だけじゃなく、風水や地相といった、環境に関する術にも通じていました。これは、都市設計や建築において「どこに何を建てると吉か凶か」を判断するもの。
平安京の配置にも、晴明の風水的アドバイスが活きているといわれています。反閇(へんばい)という歩き方による方位調整の術を駆使し、陰の気を封じて街を守ったんですね。
模型で再現された平安京の全体図
中国由来の風水思想に基づき設計された平安京の都市構造を立体的に示す模型
出典:Sakaori / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
最後は、陰陽道の中でもかなり神秘的な分野。霊符や言霊を使って作られる結界の術です。これは目に見えないバリアのようなもので、災いや敵の術から人や場所を守る力があります。
晴明はこの術を使って、敵の結界を破ったり、呪符で場を清めたりと、攻守のバランスに優れた働きをしていました。現代の陰陽師が使う術式の多くも、晴明の系譜にあるとされています。
泣不動縁起に描かれた安倍晴明
『泣不動縁起』の絵巻において、疫病神を退治する姿が描かれている
出典:Faithful reproduction of a public domain work / Wikimedia Commonsより
五行要約