
安倍晴明というと、名前は聞いたことあるけど「結局なにをした人なの?」って思う方も多いかもしれません。確かに彼の正体はちょっと不思議。史実の中では一流の宮廷官僚として活躍してた一方で、伝説の中では鬼を退け、霊を操るスーパー陰陽師として語られてるんです。
「ただの呪術師」じゃない。晴明のすごさは、政治・信仰・文化の中核でマルチに活躍した陰陽師だったことにあるんですね。このページでは、そんな安倍晴明の人物像を、史実・伝承・文化的評価の3つの視点から深掘りし、彼がどんな存在だったのかを立体的に描いてみたいと思います!
安倍晴明といえば陰陽師として有名ですが、あくまでその本職は「天文博士」でした。つまり空を読み、暦を作り、異変を予測して天皇に進言する、当時の日本における最高レベルの知識人。
星の運行や日食・月食のタイミングを正確に予測できたので、政(まつりごと)に不可欠なブレーンとして重宝されていたんです。
貴族たちからの信頼も厚く、特に藤原道長のような超大物たちの相談役としても活躍していました。もはや単なる「占い師」ではなく、国家レベルの判断材料を提供する官僚だったわけですね。
藤原道長の外出を止める犬
道長の相談役・晴明はこの様子から、蘆屋道満のかけた呪いに気が付き、道長の危機を救ったとされる。
出典:国立公文書館デジタルアーカイブより
一方で、彼にはもう一つの顔がありました。
それが式神や結界を使いこなす霊能者としての姿。夜の闇を歩く「百鬼夜行」を幼少期に見抜いた話や、鬼の出現を予知して封じた逸話など、彼の周囲では怪異と隣り合わせの出来事が絶えませんでした。
式神を自在に操り、時に目に見えぬ霊を調伏し、時には怨霊や病気の流行まで抑え込んでいたとされ、現代でいえば「スピリチュアル系の危機管理専門家」って感じです。
不動利益縁起絵巻の一場面
園城寺(三井寺)の縁起『不動利益縁起』絵巻から、安倍晴明が式神2匹を従え、病身身代わりの祈祷を行う中盤の場面
出典: Wikimedia Commons public domainより
晴明の伝説を語るうえで欠かせないのが、宿敵・蘆屋道満(あしやどうまん)との因縁です。
道満もまた高名な術士であり、何度も晴明に挑んでは敗北したとされています。なかでも有名なのが「式神封じ」の術合戦。ここでは晴明が道満の策略をあっさり見破り、逆に術を返して勝ったとか。
この術比べは、ただのエンタメではなく、「術を使うなら正道を貫け」という晴明の道義的スタンスを象徴するエピソードでもあります。
安倍晴明が宿敵・芦屋道満を術比べで打ち負かす場面
出典:葛飾北斎『北斎漫画』11編より / Wikimedia Commons - Public domain
安倍晴明の人気を高めている要素の一つが、「母が狐だった」という有名な伝説です。白狐・葛の葉と人間の父との間に生まれたという話は、まさに人ならぬ者の力を持つ伏線そのもの。
この伝説は彼の異能性や神性を際立たせる要素として、今でも創作作品の中でしばしば引用されます。京都の晴明神社には彼の象徴である五芒星が掲げられ、現在でも多くの人が参拝に訪れています。
葛の葉狐伝説を描いた絵画
法師陰陽師として知られる安倍泰名ゆかりの物語で、六トウに由来する智略を伝える陰陽師・安倍晴明の母とされる狐女・葛の葉が、自らの正体を明かし子を残して去る瞬間を描く
出典:月岡芳年 / Wikipedia Commons パブリックドメインより
意外と知られてないけど、晴明のすごいところは「自分の死後も陰陽道が続くように仕組みを作った」ところ。彼の血筋は土御門家として陰陽師の職を世襲し、鎌倉時代から明治初期まで日本の呪術と暦の運営を担い続けることになります。
土御門家の家紋『揚羽蝶』
陰陽師が装束や調度にも取り入れた雅な意匠。天文観測の儀式空間にも調和するデザイン
出典:Ageha inverted.svg / Public domainより
また、彼が対処してきたのは鬼や霊だけじゃなくて、疫病や地震、天変地異といったリアルな社会問題。公的な祈祷や鎮魂儀式などを通じて、人々の不安をやわらげ、社会の安定にも寄与していたんです。
五行要約