陰陽師に女性はいなかったのか

陰陽師に女性はいなかったのか

様々な伝承で陰陽師の活躍が言い伝えられていますが、古典にしろ、伝承にしろ女性の陰陽師がいたという話は皆無です。それもそのはず。陰陽師とは律令制下で実際に存在した官職名で、いわば国家公務員みたいなものです。

 

女性が政治に口出しすることが許されなかった時代ですから、公務員は男性が独占していました。日本で女性に参政権が与えられたのは20世紀に入ってからですから、飛鳥時代(6世紀)から明治時代(19世紀)までの間に女性陰陽師が誕生する余地はなかったと思います。

 

だからこそ、フィクション作品では珍しくない「女性陰陽師」というキャラクターには凄く魅力を感じてしまいますよね。

 

女性といえば陰陽師より巫女?

巫女

 

陰陽師と役割的に近いであろう職業として「巫女(みこ)」が挙げられます。巫女は神に奉仕する女性のことで、神々のメッセージを聞いて人々に伝えることが仕事です。

 

陰陽師は星の運行を読み、吉凶を占うのが仕事で、「神に奉仕する、神を代弁する」巫女とは違う感じもしますが、当時は天文現象を神からのメッセージと考えていたので、天文学に通じる陰陽師は、神の声を聞ける巫女にかなり近い存在ともいえるわけです。

 

女性は陰陽師にはなれませんが、巫女には女性だけがなれます。平安時代においては官職の一つで、天の神を受け入れることができる清浄な体であることを条件とし、未婚の女性に限りなることができました。