陰陽寮の天文道とは?どんな仕事?

陰陽寮における天文道とは?どんな仕事?

天文道とは、陰陽師が所属する陰陽寮が教えていた学問の一つです。星の運行など天文現象の変化を観測・記録し、地上への影響を研究することを目的としています。陰陽道の中核的学問なので、是非その本質を理解しておきましょう。

 

天文道の重要性とは

天文道は簡単にいえば、現代で言う天文学に占星学をミックスしたような学問です。

 

古代の日本では、日食や月食、流星、月の異常接近などなどの天文現象は天からのメッセージ、不吉の予兆などと考えられ、国家の存亡に関わるものとすら認識されていました。

 

天体の異常現象が予測される日には国家行事が避けられたり、急に起こった現象については、その意味を考察して占い、朝廷に報告し対策を練る必要があったのです。

 

天文博士の仕事

天文道は陰陽寮の監督下に置かれ、天文博士(定員1名)と天文生(定員10名)で構成されていました。

 

天文博士(てんもんはかせ)は、天文生の指導にあたると共に天文を観測し、天文現象に異常が見られた際には対策を練る必要がありました。

 

具体的な異常現象の記録と、調査結果を記した文書を陰陽寮を通じて天皇に報告するのです。このことを「天文密奏(てんもんみっそう)」といいます。

 

天文博士は天文生と共に毎夜天空の諸現象を観測し、異常の有無を調べ、異常があれば天文密奏を行っていました。

 

天文記録は国家機密

上述したように古代日本では、天文現象の記録というのは国家の存亡に関わるレベルで重要な情報とみなされていました。

 

その為天文記録は国家機密であり、民間に情報を漏らすことは許されませんでした。

 

関係者である天文生ですら、観測結果の口外はもちろんのこと、天文に関する図書を無断に読んだり持ち出すことは禁じられていたのです。